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●News!News!News! 2008.07.20

シングルモルトを買いにアジアの国々へ!?

 スコッチウイスキー協会(SWA)が先ごろ発表した統計数字によると、2007年のスコッチ輸出額は28億1810万ポンドに達し、これは前年比14%増、2年連続で過去最高額になったという。
 28億1810万ポンドというと、日本円で約6200億円! たかがウイスキー、されどウイスキーである。
 数量ベースでも前年比8%増の11億3520万本。単純計算で1秒に36本の割合で輸出されたことになる。地球の人口を60億と考えると、5人に1人が昨年スコッチウイスキーを、1本飲んだ計算になるのだ。
 瓶詰めブレンデッドとシングルモルトの構成比は金額ベースで、それぞれ79%と16%。かつてブレンデッドが95%に対してシングルモルトが5%といわれた時代は、すでに過去のものとなってしまった。
 それもこれも「BRICs」に代表される新興国でのウイスキー需要が急増していることと、相変わらず、世界的なシングルモルトブームが続いているからなのだろう。
 2007年の輸出金額ベストテンは、@アメリカ、Aスペイン、Bフランス、Cシンガポール、D韓国、Eベネズエラ、Fギリシャ、Gドイツ、H南アフリカ、I台湾となっている。シンガポールは中国、台湾、韓国、日本、東南アジア各国への中継国の役目を果たしていて、シンガポール国内で消費されたというわけではない。
 それにしても相変わらず韓国、ベネズエラが上位にきていて、両国のスコッチ好きがよく分かる。台湾も相変わらずの躍進ぶりで、対人口比で考えれば日本を大きく引き離している。特に台湾人のシングルモルト好きは有名で「いずれシングルモルトのジャパン・パッシグ(通過)」が始まるという、業界人もいるくらいだ。
 ちなみに数量ベースでのトップテンは、@フランス、Aアメリカ、Bスペイン、Cシンガポール、D南アフリカ、Eベネズエラ、F韓国、Gタイ、Hドイツ、Iギリシャとなっていて、ここでは台湾にかわりタイがトップテン入りを果たしている。
 台湾のシングルモルト好きに対して、タイのブレンデッド好きというべきか。これで今後、中国、インドが統計数字に表われてきたら、一体どういうことになるのやら。
 シングルモルトを買いに、アジアの国に行く日が、近い将来やって来るのだろうか。

マイケル追悼の
40年物限定ボトル

 グレンフィディック蒸留所のオーナーであるウイリアム・グラント&サンズ社はこのほど、故マイケル・ジャクソン氏に捧げる40年物の、「グレンフィディック・レアコレクション・スペシャルボトル」をリリースすると、アナウンスした。
 同社のモルトマスター、デイビッド・スチュワート氏が特別にセレクトした5樽からボトリングするもので、600本の限定発売。カスクストレングスの45・4%で、価格は1本1000ポンド(約22万円)を予定しているとか。
 5樽の内訳はバーボン樽、シェリー樽などだが、これに前回リリースした40年物の残りを少量ヴァッティング。これには80年以上前に蒸留された貴重な原酒も含まれているという。
 マイケル・ジャクソン氏が亡くなったのは昨年の8月。享年65歳であった。
 2000年から2007年にかけてリリースされた「グレンフィディック・レアコレクション40年物」の4種類に、ジャクソン氏がテイスティングノートを書いたのが、今回スペシャルボトルをリリースすることになった理由だが、最初の1本の売上げ1000ポンドは、「パーキンソン病協会」に寄附されるという。
 ジャクソン氏は、亡くなる10年くらい前からパーキンソン病を患い、その病と闘いながら精力的に仕事をこなしていた。同じ病に苦しむ人々に、少しでも勇気を与えられればという、願いもこめられているのだ。
 もはや、このボトルにテイスティングコメントを書く人はいなくなったが、全世界のマイケル・ジャクソン・ファンにとっては、垂涎のボトルだろう。

アイラ島のビーチで
快適海水浴…

 地球温暖化で水没する国ばかりとは限らない。水不足でウイスキーの生産がストップという事態に追い込まれているのが、なんとあのアイラ島なのだという。
 2008年の春は例年になく暖かい春で、アイラ島ではほとんど雨が降らなかった。特に5月がひどく、記録した雨量はわずか12ミリ。これは例年の16%の数字だとか。つまり7分の1程度しか降らなかったのだ。
 そのためブルイックラディやブナハーブン、カリラ、ボウモア、キルホーマンなどが仕込水不足で、6月に入って休止状態か、生産調整に追い込まれているという。
 すべての蒸留所でないのは、アードベッグやラガヴーリン、ラフロイグなどアイラ島の南岸にある蒸留所は、比較的標高の高い山(約460メートル)に水源の湖があるため、それほど影響を受けていないのだとか。
 それに対して前述の蒸留所は標高の低い湖と川が水源になっている。そのため小雨の影響をモロに受けているのだ。スコットランドの気象庁によると、スコットランドの西岸やヘブリディーズ諸島で特にこの傾向が強く、エイグやカンナ、スカイ島などでも水不足が深刻化している。
 エイグ島で5月に降った雨はわずか3ミリ。水道設備がなく、天然の湖に頼っている島民にとっては死活問題だという。気温もそれに伴って上昇していて、5月の平均気温は、アイラ島で例年より2・5度も高かった。
 たしかに、このまま地球温暖化が進めば、冷涼多雨で、ウイスキー造りに最も適しているといわれるアイラ島の環境も、安泰というわけにはいかないだろう。その第一が、水不足という形で表われているとすれば、事態は深刻である。
 アイラ島のビーチが南国のビーチに変身と喜ぶむきもあるようだが、ここはひとつ、雨乞いでもするしかない…。

 

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News!News!News! 2008.05.15

スモーキーでピーティな 黒ライチョウとは?

 スコットランドで一番人気のフェイマス・グラウスに描かれているのはレッド・グラウス、赤ライチョウだが、エドリントン・グループが昨年新たに免税店向けに投入したのが、その名もブラック・グラウス、黒ライチョウ≠ニいうブレンデッド・スコッチであった。
 名前だけ聞くと黒魔術に登場しそうな怪しげな名前だが、黒ライチョウはアジア西部からヨーロッパにかけ棲息する、レッキとした雷鳥の一種だとか。赤ライチョウのフェイマス・グラウスと違うのは、ブレンドに使用されている中身のモルト原酒。
 前者はタムドゥーやグレンロセスを始め、エドリントン社の誇るマッカランやハイランドパークがブレンドされているが、黒ライチョウのほうは、それに加えて複数のピーティでスモーキーなアイラモルトがブレンドされているという。
 「スモーキーなブレンデッドというのはスコッチでは誰も手をつけてない分野でした」と、語るのは同社のスポークスマン。アイリッシュにはイニシュオーエンというスモーキーなブレンデッドがあるが、意外とスコッチでは盲点だったかもしれない。もっとも、アイルランド人に言わせれば、「スコッチはすべてスモーキー!」となるのだが。
 アイラモルト並みにピーティでスモーキーなブレンデッド・スコッチというのが同社の宣伝文句だが、ウィスキー評論家のジム・マーレイ氏が、『ウィスキー・バイブル2008年版』で94点を付けたというのも驚きである。ぜひトライを!

オランダ系企業が買収
あのグレングラッサも復活

 世界的なシングルモルトブームで、閉鎖中の蒸留所が相次いで再オープンしているが、このほどハイランドのグレングラッサ蒸留所も、再操業に向けて動きだしているというニュースが飛び込んできた。
 同蒸留所はマレイ湾に面したポートソイという漁港からすぐの所にあるが、1986年から20年以上も休止が続き、もう再開される見込みはないと思われていた。最近では、オーナーであるエドリントン・グループの蒸留所リストからも漏れていたくらいである。それが再操業に向けて動きだしたというのだから、現在のシングルモルトブームは凄まじいと言うべきか。
 買ったのはオランダの投資会社で(約10億円)、再操業に向けて早々と蒸留所の新しいマネージャーを雇い入れた。マネージャーに決まったのは、元グレンモーレンジ蒸留所のマネージャー、グラハム・ユウンソン氏で、オープンの準備段階からマネージャーが決まるのは異例のことという。
 ユウンソン氏はオークニー諸島の出身で、スキャパ、グレンドロナック蒸留所でキャリアを積み、1998年からグレンモーレンジの所長を務めてきた。
 「スキャパ、グレンドロナックと閉鎖されてゆく蒸留所に立ち合ってきた。こんどは逆に閉鎖されていた蒸留所の再オープンに立ち合うことができ、2重の喜びだ」とは、ユウンソン氏の弁。 20年以上閉鎖されていた蒸留所がどういう風に蘇るのか、今から興味津々…。

100年前と同じ過ち!?
反対論が沸騰する新呼称法

 以前、このコーナーでもお伝えしたスコッチの新呼称法に関して、新しいニュースが入ってきている。異なる蒸留所のモルト原酒を混ぜるヴァッテッドモルトを、新しく「ブレンデッドモルト」とするというのはSWA(スコッチウィスキー協会)の提案だが、ここへきて、再び反対論が沸騰しているというニュースである。
 反対の急先鋒はアイラ島のブルイックラディ蒸留所(マーレイ・マクダビッド社)のマーク・レイニエー氏や、同じ独立瓶詰業者のジョン・グレイザー氏(コンパス・ボックス社)など。「これはディアジオやペルノリカールなど大手を利するだけで、独立系の中小企業にとっては死活問題」「いたずらに消費者を混乱させるだけで、せっかくのシングルモルトブームに水をさす」というのが、その理由で、先頃グラスゴーで開かれた業界団体の会議で反対署名を募ったところ、1000人以上の署名が集まったという。
 ウィスキー評論家のジム・マーレイ氏も、「ブレンドとモルトという言葉を一緒に使うというのは愚挙以外の何ものでもない。業界は100年前と同じミスを犯そうとしている。こんなバカげたことは、今すぐ止めるべき」と、手厳しい。この新呼称法が法制化されれば、大手2社による寡占状態が続き、やがてシェリーとコニャックが辿ったのと同じ道を歩むことになるという、指摘もある。
 それに対してSWAは、「消費者が混乱するというのはナンセンス。すでに表記を切替えているところもあるが、なんら混乱は起きていない」と、反論する。コトは5年前のカードゥ事件が発端となっているだけに、SWAは大手企業の言いなりになっているという指摘も免れない。当初の予定より遅れて、夏以降に法制化されるとみられているが、まだまだ予断は許さないのかもしれない。

 

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News!News!News! 2008.03.15

アイルランドよお前もか 蒸留所が描かれた紙幣が登場

 今年はアイリッシュのブッシュミルズが生誕400年ということで、記念ボトルが発売されたり、いろいろな行事が目白押しのようだが、なんとこのほど、ブッシュミルズの建物をあしらった紙幣が発行されると、アナウンスがあった。
 発行するのは「バンク・オブ・アイルランド」、アイルランド銀行で、4月からこの新紙幣が導入されるという。南のアイルランド共和国ではなく、北の英領アイルランドでの話だと思うが(アイルランド共和国はすでにユーロ紙幣になっている)、何ポンド紙幣に使われるのかは不明である。
 スコットランドには「ロイヤル・バンク・オブ・スコットランド」が発行する、ポットスチルが描かれた10ポンド紙幣があり、ウィスキーファンの間で人気が高いが、ブッシュミルズの紙幣は、柳の下のドジョウを狙ったもの…。いやいや、あくまでも世界最古の蒸留所の400周年を記念しての、粋なはからいというべきだろう。
 これでまた、北アイルランドに行く楽しみが増えた。願わくば10ポンド、いや、5ポンドくらいであると、ありがたいのだが。

ニセ・ウィスキーに困った
韓国で考えだされたものとは?

 アジアの国々には、それぞれの国にマーケットをしぼったスコッチのブランドがあって、たまに懐かしい思いにとらわれることがある。お隣の韓国もそのひとつで、かつて日本でも出回っていた「ウインザー」というブレンデッドスコッチが、韓国のリーディング・ブランド。製造元はディアジオ社で、現在12年と17年が出回っているという。
 韓国では非常に人気の高いブランドで、困ったのはウィンザーのニセ物が出回っていること。まさか韓国で、とも思うが、このほどディアジオ社が開発したのが、絶対にホンモノと分かるある装置。ハイテク(?)を駆使した仕掛けで、スクリューキャップの栓を開けると、栓の内側に付いていたある物が、ボトルの中に落ちるのだとか。
 つまりキャップを回して、その、ある物が落ちればホンモノで、落ちなければニセ物。具体的にどういうものか、まったく分からないが、お札でいえば透かしのようなものだろうか。というより、そんなことまでしなくてはいけないほど、ニセ物が出回っていることのほうが、不思議な気がするのだが。
 ハイテクかどうかはともかくとして、ちょっと気になる韓国のウィスキーではある。ボトルの中に落ちてしまった、その物体はどうなるのだろう…。

宝クジを買って運試し…
幻のブラックボウモアよ

 幻のブラックボウモア復活と話題になっているのが、昨年暮れに発売(日本では3月に正式発売)された、ブラックボウモアの第4弾。ブラックボウモアとは当時ブレンダーだったスタンリー・P・モリソン氏が、ボウモア蒸留所を買収した1964年11月に仕込んだもの。記念すべき最初の蒸留で、厳選された極上のシェリー樽に詰めて、海のそばの第1熟成庫に入れて熟成させていた。
 最初にブラックボウモアが発売されたのは1993年で、全世界2000本限定。次が94年で、この時も2000本限定。そしてファイナルとして95年に再び1812本だけがリリースされた。
  当時の売り出し価格は1本90ポンド前後(ポンドが安く日本円で約1万3000円くらい)だったが、人気が高く、あっという間に市場から消えてしまった。90年代後半には1本30〜40万円の値段がつけられ、伝説のボウモアとなっていた。昨年暮れ、ニューヨークのオークションでは、このブラックボウモアの3種セットが1万8000ドル(約190万円)で落札され、騒然となった。
 今回の第4弾は5樽から瓶詰めされたが、総本数はたったの827本。カスクストレングスにも関わらず度数はギリギリの40・5度。正真正銘、最後のブラックボウモアである。日本での売り出し価格は1本50万円!数年すれば倍になるともいわれるが、ウィスキーは、あくまでも飲むもの。ここはひとつ、宝クジでも買いますか…。

 

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News!News!News! 2008.01.15

インドや中国の言葉が 飛びかう未来の蒸留所

 スコットランドの蒸留所を訪れる人は年間100万人を超えているが、まだまだそのポテンシャルを発揮していない。メーカーはさらなる投資が必要という会議が、先頃スペイサイドのノッカンドオ蒸留所で開かれた。
 冒頭スピーチに立った地元選出の国会議員アンガス・ロバートソン氏は、スペイサイド(マレイ州)を“ウィスキーのボルドー地方”と呼ぶことを提唱し、観光客誘致のためのさらなる努力を各メーカーに要請した。特に近年、著しい経済発展をとげているインド、中国(台湾)からの観光客誘致を訴えた。
 「インドの中流階級の人口は、いまやヨーロッパ全体のミドルクラスの人口を超えている。彼らをスペイサイドにぜひ誘致したい」。
 会議には観光客誘致に成功した“先輩”として、同じイギリスのコーンウォール地方の担当者や、スペインのガリシア地方、フランスのワイン産地の人間も参加していたが、彼らも同様にスペイサイドのポテンシャルを高く評価。
 いわく、「スペイサイドはまさに金鉱脈の上に位置しているようなもの。あなた方に必要なのは、そのドアをオープンすること」「大地は熟れた果実でいっぱいになっている。あとは収穫するだけ」「もし神に、次の旅行はどこに行けばよいかと問うたら、スペイサイドと答えるだろう」
 そのうちスコットランドの蒸留所が、中国人やインド人であふれる日が来るのだろうか…。

世界一周ヨットレースの
サポート用限定ボトル

 スペイサイドのベンローマック蒸留所の限定ボトル、「Benromach Single Cask Lat550」が、昨年11月下旬、グラスゴーで販売された。ラット(Lat)とはラティチュード、緯度のことで、550とはグラスゴーの北緯55度を表している。
 なぜ、こんな風変わりなネーミングなのかというと、これは現在行われている世界一周帆船レースのスポンサーにベンローマック(ゴードン&マクファイル社)がなっているため。同社がサポートしているのが、グラスゴーから参戦している「グラスゴー・スコットランド・ウイズ・スタイル号」という帆船。そのためグラスゴーの緯度をネーミングに用いているのだ。
 このボトルはシェリー・バット一樽からボトリングされたもので、度数はもちろん、グラスゴーの緯度と同じ55度。一本当たりの値段は45ポンド(約1万1000円)で、そのうち5ポンドが自動的に、先の帆船をサポートするために使われるという。
 レースがスタートしたのは昨年9月で、リバプールを出発して途中14の港に寄り、今年7月に地球をぐるりと一周して、再びリバプールにもどってくる。これはリバプールがヨーロッパの文化都市に選ばれたことを記念する祝賀行事のひとつ。
 スコットランド代表として参戦している「グラスゴー・スコットランド・ウイズ・スタイル号」は、リバプールからラ・ロッシュ、ラ・ロッシュからサルバドール、サルバドールから南アフリカのダーバン港までの3つのステージで、現在総合3位と大健闘している。
 今後レースはオーストラリアのアデレード港目指して続くが、第4ステージで一番にでもなれば、アデレード港を記念したボトルも出るのかもしれない。
 もっともアデレードは南緯35度なので、「Lat350」というネーミングは使えない。残念ながらスコッチは40%以下ではボトリングできないからだ。

ついに登場!!
オーダーメイド・バーボン

 ケンタッキーのバッファロートレース蒸留所といえば、ブラントンやエンシャントエイジ、サゼラック・ライウィスキーなどで知られるが、ここ1、2年、相次いでユニークなボトルをリリースすることでも話題になっている。このコーナーでも過去に何度かお伝えしているが、例えばカリフォルニアワインのジンファンデルの樽で熟成させたバーボンとか、今までのバーボンでは考えられもしなかったチャレンジングな製品を次々と世に送り出している。
 それとは別に、蒸留所内にパイロット蒸留所のような小さな蒸留所を建設中というニュースもお伝えしたが、このほどその全貌が明らかになった。バッファロートレースが新しく導入したスチルは、通常のポットスチルの上部に、連続式蒸留機に見られるようなコラムスチルを取り付けたもので、これによって異なるアルコール度数の、多くのニュースピリッツを生むことができる。マスターディスティラーのウィットレー氏によると、「通常のコラムスチルだと一度の仕込みで最低何百樽という仕込みになるが、このスチルだとせいぜい4〜5樽。それだけ多くの試験的な仕込みを行うことができる」という。
 さらに驚くべきは、顧客の要望に応じて、マッシュビル(原料穀物の混合比率)やアルコール度数を任意に設定することができること。「オーダーメイドな蒸留所として使ってもらうことも検討している」と、いうのだ。
  スモールバッチ、シングルバレル、ブティックバーボンと、バーボンはスコッチのシングルモルトに倣って進化してきたが、ついにオーダーメイド・ウィスキーの登場である。バーボンはもはやスコッチを凌駕している…。

壁の中にボトルを埋め込む
スコットランドの風習

 ニュージーランドの南島、マウント・クック(アオラキ山)の麓にあるハーミテージ・ホテルがこのほど改装を行ったが、そのときにザ・グレンリベット12年のボトルを一本、カプセルに入れて石壁の中に封印したという。
 ここはエベレスト初登頂をなしとげたエドマンド・ヒラリー卿の名を冠したサー・エドマンド・ヒラリー・アルパイン・センターがあることでも有名な場所。グレンリベットのボトルと一緒に、地元のティマル・ヘラルド紙や当日の天気予報図、ホテルのルームチャージやレストランメニュー、アルパイン・センターの多くの写真などが同時に埋め込まれた。
 これはスコットランドの古い習慣で、家を建てるときなどに石工が壁の中にウィスキーのボトルを埋め込むのだとか。数10年後、あるいは数100年後に、その家の修復を行う石工がそのボトルを受け取り、飲むためだという。
 いわば現代の石工から未来の石工へのプレゼント。遠く離れたニュージーランドに、そのような風習が伝わっているというのも面白い。ニュージーランドはもともと、多くのスコットランド人が渡って建国した国なのだ。
 それにしても、未来の石工がウラヤマシイ…。


一口6000円で
アイラ島に夢のマイホーム

 54ページでインタビューしているジム・マッキュワン氏に、ぜひ紹介してほしいといわれたのが、アイラ島で行われている「スポット・ザ・ウィスキー・バレル」(ウィスキー樽を捜せ!)という、ユニークなチャレンジ。
 これは飛行機からパラシュート付きで海上に投下された空樽(ソラダルではありません、念のため)の位置を言い当てたら、豪華な景品がもらえるというもの。エントリー料は一口25ポンド(約6000円)で、一番近くを言い当てた者には一等商品として、アイラ島の土地3エーカー(約3700坪)と、そこに家を建てるための建築費、合計25万ポンド(6000万円)相当がもらえるという。
2等は10名で、これは2009年に新しくオープンするアイラホテルのペア宿泊券。それも5月下旬のアイラ・フェスティバル期間中に一週間滞在できる権利が、5年間も与えられる。これだけで約6000ポンドの価値がある。3等はアイラの蒸留所の樽(ホグスヘッド)が一樽もらえる。ボトルにして250本相当で、4000ポンドの価値がある。これは、どーんと20名様だ。
 4等はアイラとジュラの9本のシングルモルトをスペシャルボックス入りで、250名に。これでも1000ポンドの価値があるのだとか。それやこれやで総額66万ポンドにものぼる一大チャレンジ・キャンペーンである。これはアイランド・チャリティーと、アイラホテルのための資金調達イベントで、少なくとも10万ポンドが前記のチャリティーに、残りがホテルの建築費の一部として使われる。
 エントリーは2008年3月31日に締め切られ、4月の好天の日に飛行機を飛ばし、高度5000フィート(約1600メートル)から樽を投下する。着水と同時に陸地からボートが駆けつけ、3人の審判がGPSを使って正確に位置を決定するという。
 投下される海面はアイラ南岸が予定されている。全世界に向けて6万口のエントリーを募集しているというから、なかなか狭き門だが、アイラ島に夢のマイホームが持てるというのであれば…。それも予定地とされているのはポートエレン港を望むオー半島の高台。アイラ随一の絶景の土地である。
 興味のある方はwww.spotthewhiskybarrel.comまで。もし、運良く当たったなら、ぜひ編集部までご一報を…。

 

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News!News!News! 2007.11.15

1850年代のボウモアが世界記録を更新!

 9月28日に開かれたグラスゴーのマクティアーズのオークションで、1850年代にボトリングされたボウモアが2万9400ポンド(約710万円)で落札され話題になっている。これは1本のウィスキーの値段としては2005年のダルモアを抜いて、世界新記録となった。
 このボトルは1850年代にボウモア蒸留所を所有していた双子の兄弟、ウイリアムとジェームズ・マッターのうち、兄のウイリアムがビジネスから手を引き株式を弟に譲った記念として、1851年にボトリングされプレゼントされたもの。もちろん現存するボウモアとしては最古のものである。
 当初は現ボウモア蒸留所のブランド・ディレクター、グレン・ムーア氏が落札すると思われていたが、最終的には予想金額を大きく上回り、電話でオークションに参加していた正体不明の外国人コレクターによって、落札されてしまった。「蒸留所のレセプションホールに展示し、来訪者に見てもらいたかったのに…」と、ムーア氏は残念がる。
 それにしても710万円(!)とは驚きである。ボトリングされたのはアイラ島ということだが、1851年ということは最も初期のボトリングということになる。今回はウイリアム・マッターの子孫が代々受け継ぎ、そのことを証明する書類も存在するというから、一時期話題となったイタリア製のフェイクとは違うようだ。由緒正しいボトルということで、こんな高値がついたのだろう。それもこれも、人気のボウモアだからこそである。
 ところで、正体不明の外国人コレクターって、日本人じゃないでしょうね。もしそうなら、コッソリ編集部までお電話下さい。決して他言は…。

英ヨーク公がテープカットし
元大統領がラベルにサイン

 次もオークションのお話。アメリカの初代大統領ジョージ・ワシントンの蒸留所については、このコーナーでも再三お伝えしているが、10月7日に開かれたガラ・オークションで、2003年10月21日に蒸留され、2006年9月26日にボトリングされた24本のうちの1本が、3万5000ドル(約410万円)で落札され、こちらも話題になっている。
 このウィスキーは、マウントバーノンで見つかった18世紀後半のレシピに基づいて蒸留されたもので、バーボンウィスキーではなく、今日でいうストレート・ライウィスキーに近いものだとか。当時はまだ発掘調査中で、蒸留はスミソニアン博物館に展示されている18世紀のポットスチルを復元して、発掘現場の草地の上で行われた。
 実際の作業にあたったのは、全米蒸留組合の錚々たるマスターディスティラーたちで、ブラウン・フォーマンのクリス・モリス氏や、メーカーズマークのデイビット・ピケレル氏、ワイルド・ターキーのジミー・ラッセル氏などであった。蒸留されたウィスキーはアメリカン・ホワイトオークの小樽に詰められ、マウントバーノンの邸宅の地下セラーに貯蔵されていた。
 ボトリングされたのは前記の2006年。復元されたジョージ・ワシントンの蒸留所のオープニングセレモニーの時で、テープカットをしたのは英ヨーク公アンドリュー(チャールズ皇太子の弟)、24本の記念すべきボトルににサインをしたのは、元大統領のジョージ・ブッシュ氏(パパ・ブッシュ)であった。
 今回オークションにかけられたのは、そのうちのシリアルナンバー5番のボトル。落札したのはニューヨーク州でラムやウォッカの輸入業を営むジョン・フランク氏。「復元されたワシントンの蒸留所をサポートすることで、アメリカの蒸留の歴史や文化を広く伝えたい」とは、本人の弁。ちなみにこのワシントンの蒸留所は、現在一般公開されている。ぜひ、一度は…。

あのチャべスがキレた!?
オイルマネーで大量輸入

 BRICSと呼ばれる新興国でのウィスキー消費が急激に伸びていると、こちらも再三このコーナーで紹介してきたが、南米ベネズエラではついにチャべス大統領が国民に苦言を呈すという事態まで起きてきた。
 現地発のBBCが伝えるところによると、ベネズエラでのスコッチ消費量は2006年に、ついに年間1億700万本を突破。人口2500万人で割ると、国民一人当たり年間4本強のスコッチウィスキーを飲んでいることになる。これはスコッチの全輸出量の1割に迫る数字だ。
 ベネズエラは、いわゆるチャべス体制の社会主義国。にもかかわらず、スコッチに代表されるようなヨーロッパの贅沢品を、こぞって買い求める風潮が、このところ社会現象になっている。背景にあるのは世界的な原油高で、石油産出国であるベネズエラに巨額なオイルマネーが流れ込んでいること。カネ余り現象と国内インフレーションで、スコッチなどの高級品が飛ぶように売れるのだとか。
 輸入量を抑えるために、輸入業者へのドル割当てを減らすとチャべス大統領はアナウンスするが、早くも政敵などから非難の声があがっている。「庶民は安いラムとビールを飲めということか」というのが、その理由だが、ラム好きの大統領を牽制した発言であるのは明白。この騒動、一体どうなることやら。
 ちなみに2006年のスコッチ輸入国ベスト15は以下の通り。@フランス、Aアメリカ、Bスペイン、Cタイ、D南アフリカ、Eベネズエラ、F韓国、Gオーストラリア、Hブラジル、Iドイツ、Jイタリア、K中国、Lギリシア、M台湾、Nインド。特にここ1〜2年、中国、インド、ベネズエラ、南アフリカの伸びが、他を圧倒している。

スコッチが売れれば桶屋が儲かる
世界的なウィスキー熱

 世界的なウィスキー需要の伸びで、各国でマイクロ・ディスティラリーを含めた新蒸留所の建設や、既存蒸留所の生産量倍増プロジェクトなどが喧伝されているが、先頃SWA(スコッチウィスキー協会)が発表した数字を見ると、スコッチは2006年に初めてボトル詰めスコッチの輸出量が10億本を突破し、金額ベースでも25億ポンド(約6500億円)を、超えた見込みである。対前年比は数量で6パーセント増、金額で4パーセント増となっている。
 スコッチはイギリスの5大輸出品物のひとつだが、石油と天然ガスを除いた全輸出品のうち、スコッチは金額ベースで13パーセントを占めているという。ディアジオ社やウイリアム・グラント&サンズ社の新蒸留所建設の話は前号でお伝えしたが、ウイスキーの周辺産業の景気も急上昇中だ。
 スコットランド産大麦の価格はこの10年余り低い水準に抑えられていたが、今年は久しぶりに価格が上昇し、1トン当たり200ポンド(4万8000円)の高値がつけられているという。それでもボトル1本当たりの平均値15ポンドのうち、原料の大麦が占める価格はせいぜい14〜15ペンス(約35円)だとか。
 スペイサイドのローゼスにあるフォーサイス社は、世界最大のポットスチル・メーカーだが、このところ世界中から注文が相次ぎ、「1960年代から70年代にかけての好景気の再来」と、嬉しい悲鳴を上げている。同社は50人の銅職人を雇っているが、注文に追いつかないという。
 アイラ島と本土を結ぶフェリーを運航するカレドニアン・マックブライン社も、フェリーの増便の検討を迫られている。観光客の増加も一因だが、このところのアイラモルト・ブームで各蒸留所が増産していて、それらを運ぶタンクローリー車でフェリーは満杯なのだとか。
 そのタンクローリー車を展開する最大の会社、マクファーソン社も急激な需要増に対応を迫られている。同社は400台のタンクローリー車とトレーラー車を所有し、250人のドライバーを雇っているが、それでも人手不足という。「新たなトレーラーを発注したが、そう簡単にドライバーは見つからない」と、複雑な心中をのぞかせる。
風が吹けば桶屋が儲かるではないが、スコッチウィスキーの急激な伸びは、各方面にも思わぬかたちで波紋を広げているのだ。

飲むより、慣れろ!!
スコッチの新呼称法

最後にイギリスの食糧・環境省が発表したスコッチウィスキーの新しい法定義について――。同省によると、来年からスコッチウィスキーの呼称は@シングルモルト、Aシングルグレーン、Bブレンデッド、Cブレンデッドモルト、Dブレンデッドグレーンの5種になるとか。従来のヴァッテッドをやめ、複数の原酒を混ぜる場合はすべて「ブレンデッド」という表現に統一しようというもので、これはSWAが昨年あたりから提唱していたもの。今回はきちんと、法案として議会決議され、来年から正式に導入されるという。
 今までSWAに加盟していないメーカーやブレンダーの間では、「いたずらに混乱を招くだけで、ヴァテッドモルト、ピュアモルトという表現を使って、なぜ悪いのか」というクレームがついていたが、この決定でこれからは使えないことになる。SWAに加盟していてもいなくても、これは法定義として決定したことだからだ。かくなる上は、「ブレンデッドモルト!?」という言葉に慣れるしかない…。


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News!News!News! 2007.09.14

スイスチーズより穴だらけ!? 自作自演の窃盗劇

 先頃グラスゴーの裁判所で一人の男が有罪判決を受けた。男の名前はコリン・マホーランドで、グラスゴー出身の37歳のトラック運転手。彼の罪状は窃盗罪だが、もともと被害者として2005年にスターリング州の警察に駆け込んでいた。彼の言い分はこうである。「会社の倉庫から1067ケースのデュワーズのウィスキーを積んでグラスゴーに向かう途中、ナイフを持った窃盗団に襲われ、気がついたら道端に置き去りにされていた」。
 後日トラックはマホーランドの供述どおり別の場所で発見されたが、もちろん積荷のウィスキーは1ケースも残っていなかった。1067ケースのウィスキーで、その価値は約10万ポンド(約2400万円)にもなるという。
 当初被害者を装っていたマホーランドだったが、彼の供述にはあいまいな点が多すぎた。すぐにウソがばれ、自作自演だったことが分かってしまった。論告求刑に当たった検察官の口上がふるっている。「彼はデイビット・カパーフィールドでもなければハリー・ポッターでもない。そう簡単にトラック一台分のウィスキーは隠せないし、彼の供述には、スイスのエメンタールチーズ以上に穴が多かった」。
 さすがユーモアの国イギリス、ケチで有名なスコットランド人である。なにしろスイスのチーズには穴が多すぎると、いつもクレームをつけるお国柄なのだから。

スコッチに負けず劣らず
お熱いのが大好き…


 カナダ特産のアイスヴァイン樽で熟成させたグレンオラ蒸留所のことは以前紹介したが、今度はカリフォルニア・ワインのジンファンデル種の樽で寝かせたバーボンウィスキー(?)の登場である。
 販売するのはケンタッキー州のバッファロートレイス蒸留所で、ここは毎年「エクスペリメンタル・ウィスキー」というシリーズを出していて、全米のバーボンファンの注目を集めている。この夏リリースされたのが「ジンファンデル6年」と「ジンファンデル10年」の2種類。ジンファンデルはアメリカ固有のブドウ品種で、赤ワイン用に広くカリフォルニアで栽培されている。そのジンファンデルの熟成に使用された樽で、ウッドフィニッシュ(?)を行ったものだ。
 疑問符をつけたのは通常のウッドフィニッシュと違って熟成期間が非常に長いからだ。「ジンファンデル6年」は、通常のバーボンカスク(アメリカン・ホワイトオークの新樽)で6年と3ヶ月熟成させたあと、ジンファンデルのバレル樽でなんと8年も寝かせている。同10年は同じくバーボンカスクで10年と4ヶ月間熟成させたあと、ジンファンデル樽で8年寝かせているのだ。2つとも後熟は8年と一緒だが、前者はバーボンカスクよりもジンファンデル樽の方が長くなっている。これはもはやウッドフィニッシュではなく、ダブルマチュアードである。それも、過去に例のない、新しくユニークな試みである。
 バーボンウィスキーにも疑問符をつけたのは、バーボンは連邦アルコール法で新樽の使用が義務づけられていて、しかもそれ以外の香味づけが禁じられているからである。ジンファンデルの樽によって、ワイン様のフレーバーがつくとすれば、これはバーボンの範疇には入らない。少なくともケンタッキー・バーボンとは名乗れないはずだ。
 しかし、それにしてもユニークな試みで、このところのバッファロートレイスからは目が離せない。同蒸留所にはこの手の“経験”ウィスキーが現在1500樽ほどあり、あらゆる実験をしているのだとか。さらにバッファロートレイスでは現在、マイクロ・ディスティラリーの建設を計画中。場所は蒸留所の敷地内で、これはいろいろな実験が行える「教材のような」蒸留所になるという。
 このところのバーボン人気を反映して、アメリカンもスコッチにおとらず、熱いのである。これぞまさしく、おアツイのがお好き…。

ワイン好きが泣いて喜ぶ
最新ウィスキー事情


 ウッドフィニッシュが出たついでに、本家本元のグレンモーレンジの話をひとつ。もともとウッドフィニッシュは同社がパイオニアだが、なんとこの夏からウッドフィニッシュという名称を改め、「エクストラマチュアード・シリーズ」に変更するという。これはグレンモーレンジ社始まって以来の大幅なブランド・リニューアルに伴うもので、従来あったシェリー、マディラ、ポート、バーガンディの4種のウッドフィニッシュを止め、新たにシェリー、ポート、ソーテルヌの樽が選ばれている。
 それも「グレンモーレンジ・ラサンタ」「グレンモーレンジ・キンタルバン」「グレンモーレンジ・ネクタードール」という、凝った名前がつけられている。ラサンタはゲール語で『情熱』を表す言葉で、もちろんこれはシェリー樽。キンタルバンのキンタはポルトガル語で『ワイナリー』、ルバンはゲール語で『ルビー色』のことで、厳選されたポートのパイプ樽(シェリーのバット樽よりが側板が長い)を用いている。ネクタードールのネクターはシロップのことで、オールはフランス語でもゲール語でも『黄金』のことだとか。もちろん、この言葉に連想される樽といえば極上甘口白ワインの代表格である、フランスのソーテルヌしかあり得ない。どれも冷却濾過を行わずに46度でボトリングするという。
 アイラ島のブルイックラディでは「エーシング」という言葉を使い、ウッドフィニッシュの上をいくものとアピールしている。これは「アディショナル・カスク・エンハンスメント(Additional Cask Enhancement)」の頭文字を取ったもので、これと“エース”をかけている。ここまでいくとダジャレ…といいたくなるが、実際考えられるありとあらゆるワイン樽が使われているのだ。もはやスコッチの勉強に、ワインの知識は欠かせない!?


アイラの巨人からビッグなボトルが発売

 『大きいことは、いいことだあ〜』というCMフレーズが昔あったが、それを地でいくようなジャイアントボトルがアードベッグから発売されて、話題になっている。「モー・アードベッグ Mor Ardbeg」と名付けられたこのボトルの容量は4・5リットルで、高さはなんと52センチメートル、重さは6・5キロもある。
 中身はほぼ10年熟成(?)のアードベッグで、アルコール度数はカスクストレングスの57・3パーセント。グレンモーレンジ社(現ルイヴィトン・モエヘネシー)がアードベッグを買収したのが1997年で、その10周年を記念してこの夏に発売したもの。限定1000本で、本国イギリスでは1本350ポンド(約8万4000円)で売りに出されている。ちなみにモーはゲール語で『大きい』の意味。
 4・5リットルといえば通常の700ミリリットルのボトル約6・5本分。カスクストレングスなので、この値段は決して高くはないが、それにしても一体どこに置いておけばよいのだろう。バックバーには入らないし、個人で買えば家人の顰蹙を買いそう。だいいち7キロ弱のボトルからどうやってグラスに注げばよいのやら。まずは鉄アレイで腕をきたえるしかない…。


あなたならどうする
最期の日のアードベッグ

 次もアードベッグの話題から。全世界に10万人以上の会員がいるという“アードベッグ・コミッティー”が、先頃「死ぬ前にアードベッグを飲むとしたら、どこがよいか?というアンケート調査を行った。その結果1位となったのが、アードベッグの仕込水を引いているウーガダール湖の辺というものであった。以下、Aアフリカのヴィクトリアの滝の上からバンジージャンプで跳んでいる時、Bジュラ島のパップス・オブ・ジュラ山の山頂、C三角帆のダウ船に乗ってスエズ運河を航行中に、Dカナダ横断鉄道で故郷に帰る途中と続く。
 C、Dは実際に乗ったことがないので分からないが、@のウーガダール湖の辺というのはなんとなく分かる気がする。それも夏の日の穏やかな夕暮れ時、沈みゆく夕陽を見ながらとある。ロマンチックで素敵な話だが、これはウーガダール湖に行ったことがない人の感傷(?)。というより夏の間のアイラ島の水辺のミツジ攻撃を知らない人の感想だろう。ミツジはブヨの一種で、そのかゆさといったら筆舌につくし難い。しかも夕暮れ時がもっともヤバイ。のんびりアードベッグを飲んでる場合ではないのである。
 Aのヴィクトリアの滝は世界3大瀑布のひとつ。バンジージャンプがあるとは知らなかったが、一体バンジージャンプの最中にどうやって飲むのだろう。飲む前に昇天してしまいそうだ。Bのパップス・オブ・ジュラの山頂というのもキツイ。なんせ標高が800メートル近くもあり、途中樹林帯もなくゴツゴツした岩場の連続である(登ったことはないが)。ましてや日本のように峠の茶屋もなければ、山頂に着いても小屋もない(当たり前か)。と考えると、どれも難行苦行に思えるのだが。皆さんなら、どこを選びますか?え、やっぱり、家で飲んでいたい…。

 

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News!News!News! 2007.07.15

カワセミ印の ウィスキーが誕生する!?

 久しく鳴りを潜めていた蒸留所買収劇だが、つい最近スコッチ業界に激震が走った。それはあのホワイト・マッカイ社が、インドのユナイテッド・スピリッツ社によって買収されたというニュースである。同社はインド最大の酒造メーカー、ユナイテッド・ブリュワリーズ社(UB)の子会社で、同グループを率いるのは、『フォーブス』が世界の資産家664位にランクした(2007年)、ビジェイ・モーリャ氏。インド版リチャード・ブランソン≠ニいわれる人物で、キング・フィッシャー・ビールやウィスキーのバグパイプ、マクドーウェルなどを持つ財閥である。ブランソン氏は英ヴァージン・グループの総帥で、ビジェイ氏がそういわれるのは、つい最近「キング・フィッシャー・エアライン」という会社を設立し、航空業界にも参入を果たしたからである。
 UB社の本拠は南インドのバンガロールだが、ホワイト・マッカイ社を買収したことで、世界第3位のウィスキーメーカーに躍り出た。買収金額は約6億ポンド(1500億円)で、さらに100万ポンド以上を投資して、同社傘下のインバーゴードン・グレーンウィスキー蒸留所を、増築するという。インバーゴードンの現在の生産量は年間約4000万リットルだが、これを8000万リットルにするのだとか。実現すればディアジオ社のキャメロンブリッジを抜いて、世界最大のグレーン蒸留所となる。
 なぜ、こうまで強気にでるのか。理由は簡単で、インドは現在世界一のウィスキー消費国。しかし、その中でスコッチのシェアは、わずか1パーセントにも満たないのだとか。来たるべきスコッチの輸入時代と、インバーゴードンの増産で、自社のインド・ウィスキー、バグパイプやマクドーウェルの原酒確保にもつながる。まさに一石二鳥の投資なのである。そのうち、カワセミ印のウィスキーも登場するかもしれない。

氷の下から100年ぶりに
あのマッキンレーズを発見

 少々旧聞に属するが、今年2月、南極大陸でアーネスト・シャクルトン隊が残したマッキンレーズの「レア・オールド・ウィスキー」2箱が見つかって話題になっている。
 シャクルトンはスコットやアムンゼンと並ぶ著名な南極探検家で、1901年と07年、そして1914年と3度にわたり南極大陸にその足跡を残している。1901年の探検はスコット大佐率いる遠征隊のメンバーだったが、2回目となる1907年の探検は、シャクルトン自身が計画した、南極点到達のための遠征であった。スポンサー探しで出会ったのがマッキンレーズ社で、同社は快く12ケースのウィスキーを、遠征隊のオフィシャルボトルとして提供した。
 シャクルトン隊は1908年1月に、ロス島のケープロイズに小屋を建て、そこをベースとした。同年10月南極点を目指して出発したが、あと98マイルの地点で食糧がつき、断念せざるを得なかった。1909年3月に彼らはケープロイズを後にしたが、その時に余ったウィスキー2箱を小屋の地下に埋めていった。今回発見されたウィスキーは、そのシャクルトン隊が残していったウィスキーだという。
 ちなみに人類初の南極点到達は1911年に、ノルウェーのアムンゼン隊によって成し遂げられている。それにしても、100年前のマッキンレーズはどんな味がするのやら…。

人類の遺産が焼失!!
カティーサーク号の悲劇

 カティーサークといえばウィスキーファンだけでなく、海を愛する男たちや、紅茶ファンにも人気の帆船である。ロンドンの東、天文台で知られるテムズ河畔のグリニッチに永久保存されていたが、5月21日未明、不審火により焼失してしまった。
 カティーサーク号は1869年、スコットランドのクライド湾(ダンバートン造船所)で建造され、翌70年2月に中国・インドに向け出航。もともとティークリッパー(紅茶運搬船)として建造されたもので、全長210フィート(64メートル)、メインマストの高さは152フィート(約46メートル)という、速さを売りにする快速帆船であった。その年一番にロンドンに水揚げされる紅茶には高値が付いたため、当時はこぞって快速帆船が造られたのである。
 もちろん船名は、スコットランドの国民詩人ロバート・バーンズの詩にちなむもの。バーンズの代表作『シャンタのタム』の中に出てくる、魔女の下着のことである。ティークリッパーとしての役割は19世紀に終わりを告げてしまったが、人々の記憶から忘れ去られることはなく、1923年にベリー・ブロス社(BBR)の新しいブレンデッド・スコッチの名前として蘇った。
 その歴史的なカティーサーク号が焼失してしまったのだから、イギリス国民の嘆きは尋常ではない。同船の保存協会の会長を務めるのはエリザベス女王の夫君、エジンバラ公だが、公は事件後すぐに現場を訪れ、「非常に恥ずべきこと…」という、コメントを発表した。

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News!News!News! 2007.05.15

樽を買うより株を買ったほうが大儲け…

 相変わらずウィスキーブームが続いているようで、またまたスコットランドから景気の良い話が飛び込んできた。
 前号でディアジオ社の新しい蒸留所のことをお伝えしたばかりだが、こんどはあの「グレンフィディック」の、ウィリアム・グラント&サンズ社が、新しく蒸留所を建設するという。その候補地として選ばれているのが、なんとかつてのレディバーン蒸留所の跡地だという。
 レディバーンは同社のガーヴァン蒸留所の敷地内にあった蒸留所で、ガーヴァンのグレーンウィスキー蒸留設備拡張にともなって、1975年に閉鎖、取り壊されていた。そこに再び、モルトウィスキー蒸留所を建てるのだとか。名前はまだ決まっていないが(レディバーンを復活させるつもりはない模様)、初留釜4基、再留釜4基を有するかなり大きな蒸留所で、2007年一杯で竣工し、2012年以降に、主にブレンド用原酒として使用するという。
 それもこれも空前のスコッチウィスキーブームのお蔭で、SWA(スコッチウィスキー協会)が発表した数字によると、2006年に輸出されたスコッチの本数は10億本以上、数量的には前年比7パーセント近い伸びなのだとか。BRICS(ブラジル、ロシア、インド、中国、東南アジア)といわれるウィスキー新興国の消費が急増で、原酒不足が深刻化してきているのだ。
 ウィリアム・グラント社では、「グレンフィディック」の拡販戦略を発表したばかり。シングルモルトとしては初の年間100万ケース達成を目指して、今後約2300万ポンド(約54億6500万円)を投入するという。それとは別に、今回は1000万ポンドを用意しているというのだから、なんともはや、聞こえてくるのは景気の良い話ばかり。
 ここはひとつ、樽ではなく、株でも買ってみますか…。

あのキルベガンが
半世紀ぶりに再操業!?

 ケネディ大統領が就任して間もない1960年11月のある日、著名なアイルランド人作家フランク・オコナー氏がワシントンにやってきて、こう嘆いたという。
 「あなた方同胞は祖国に対する援助を行わないばかりか、アイリッシュウィスキーも飲んでいない。セント・パトリックデーで飲むのもスコッチばかりだ。中でも最大の恥知らずは大統領の父親である」
 ジョン・F・ケネディ大統領がアイリッシュ系移民の子孫であることはよく知られているが、ジョンの父が禁酒法解除直後(1930年代)に、スコッチウィスキーを大量に輸入して巨額の金を儲けていたことは、意外と知られていない。オコナー氏は、アイリッシュの衰退は、そうした同胞の裏切りにあると嘆いたのだ。
 たしかに1930年代から戦後の70年代にかけてのアイリッシュウィスキーの凋落は、目を覆うばかりであった。かつてスコッチと覇を競ったアイリッシュの蒸留所は相次いで閉鎖され、1970年代後半には、ついに2ヵ所のみとなってしまった。オールド・ブッシュミルズ蒸留所と南部の新ミドルトン蒸留所である。どちらもアイルランド資本ではなく、フランスのペルノリカール傘下となっていた。
 そこに新風を吹き込んだのがジョン・ティーリング氏で、彼の創業したクーリー蒸留所(1987年創業)とキルベガンについては第7号でお伝えした。そのキルベガンが、今年3月に再操業に向けて動き出したという、仰天ニュースが飛び込んできた。
 詳細はまだ明らかになっていないが、1800年代に作られたポットスチルを新たに導入し、それで54年ぶりに蒸留を行うのだとか。キルベガン(ロックス蒸留所)が閉鎖したのは1953年3月のことで、それから実に半世紀以上が経っている。
 あの博物館で実際に蒸留が行われるというのは、俄には信じられないが、もしそうだとすると、アイリッシュに再び新しい風が吹き始めているのかもしれない。

世界初となる
アイス・ヴァイン樽熟成

カナダのノヴァスコシア州にあるグレンオラ蒸留所については、小誌第7号で紹介したが、そのグレンオラ蒸留所が、世界で初めてとなるアイス・ヴァイン樽熟成の製品を出して、話題になっている。
 「グレン・ブレトン・アイス」と名付けられたこの製品は、同じノヴァスコシアのマラガッシュにあるジョスト・ワイナリーのアイス・ヴァイン樽で熟成させたもの。アイス・ヴァインとはカナダ特産の極甘口白ワインのことである。特にこのジョスト・ワイナリーのアイス・ヴァインは国際コンテストで何度も賞を受賞している逸品なのだとか。
 カスクストレングス(62・2パーセント)でボトリングされたこの製品を実際にテイスティングした評論家によると、その風味は一語で「アメージング!」。濃厚なアロマと、白ブドウを思わせるスパイシーでスイートなフレーバーがあり、美味そのものだという。
 現時点では州都ハリファックスのリカーショップなどでしか手に入らないようだが、ぜひとも、試してみたいものである。一本49・95カナダドルというから、アイス・ヴァインより安い…。

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News!News!News! 2007.03.15

スコッチ最大級となるディアジオ社の新蒸留所

 スコッチ業界に、久々のビッグニュースが飛びこんできた。それは30年ぶりに、ディアジオ社が1億ポンド(約240億円)を超える投資を行うというもので、2月中旬にアナウンスされたプレスリリースによると、4000万ポンド(約96億円)をかけて新たにモルトウィスキーの蒸留所を建設し、同じく4000万ポンドをかけて、キャメロンブリッジのグレーンウイスキー工場を拡張するという。残りの2000万ポンドはグラスゴーのボトリング工場と熟成庫の拡張に使われる。
 ディアジオ社は27のモルト蒸留所と、2つのグレーン蒸留所を所有するスコッチ最大のメーカーで、スミノフウォッカなどを合わせたその総生産量は、年間約5000万ケースにも昇るという。そのうちの90パーセントは輸出用である。今回新たにモルトウィスキー蒸留所を建設するのは、シングルモルト人気が急上昇し、ブレンデッドに回す原酒が不足してきたからだ。特に中国、台湾、インド、ブラジル、メキシコなどで「ジョニーウォーカー」や「J&B」「ベル」の需要が急上昇し、原酒不足が起きている。
 新たに建設されるのはスペイサイドのローズアイルの地で、ここにはディアジオ社の製麦工場が稼働しているが、その広大な敷地内に新しく蒸留所を建てるという。ポットスチルの数は10基を越えるものと予想されている。10基といえばティーニニックやカリラ、クライヌリッシュを抜いて、ディアジオ社最大の蒸留所ということになる。今年中に着工し、2009年には生産開始というから、楽しみがまた増えそうだ。

建設予定地は
BC大学の実験農場

 次も蒸留所建設のニュース。ただしディアジオの最大級の蒸留所と違って、こちらはその100分の1にも満たない、マイクロ・ディスティラリーの話である。それもスコットランドではなく、カナダのブリティッシュ・コロンビア州で、新しい蒸留所の建設話が持ち上がっているのだ。
 建設予定地とされるのは、同州のヴァンクーバー島の東側にあるコモックス・ヴァレー。もともとブリティッシュ・コロンビア大学の実験農場だったところで、豊富な水資源と、周辺で大麦などの穀物が獲れることが、決め手になったという。建設計画を進めているのは、地元で会計士をやっているジェイ・オデリフソン氏。同氏はコモックス・ヴァレーの開発委員会の責任者も務めていて、また過去に南アフリカでワイナリーを経営していたこともあるのだとか。
 蒸留所はスコッチタイプのモルトウィスキー蒸留所で、ポットスチルで年間約5万リットルのシングルモルトを生産する。蒸留所建設に必要な費用は200万カナダドル(約2億円)で、ランニングコストとして、それ以外に100万ドルを見込んでいる。今年中に着工し、年内竣工を目指すという。オーク樽でもちろん3年間熟成させ、2011年頃から、シングル・カナディアン・モルトウィスキーとして、売り出す予定だ。
 これで広大な北米大陸を挟んで、東にノヴァ・スコシアのグレンオラ蒸留所、西にヴァンクーバー島のシェルター・ポイント蒸留所(予定名称)の2つが、カナディアン・シングルモルトウィスキーとして、稼働することになる。マイクロ・ディスティラリー建設のこの流れは、どこまで加速するのだろうか。

スペイ川に注がれる
シェリー風味のウィスキー

 蒸留所建設の次は、今年もスコットランドにサーモンシーズンがやって来たというニュース。スコットランドはウィスキーばかりか、サーモンフィッシングでも世界中の釣り師を熱くさせている。モルトウィスキーのメッカでもあるスペイ川は、実はサーモンフィッシングのメッカでもあるのだ。そのスペイ川の解禁日を祝うセレモニーが、今年も2月12日に、スペイ川で行われた。
 実はこのセレモニーはスペイ川のあちこちで行われているのだが、その一つがアベラワーのスペイ・フット・ブリッジで行われるもの。このセレモニーのスポンサーは、グレンファークラス蒸留所で、当日は街の広場からこの橋まで、バグパイパーが先導して、釣り師の行進が行われる。橋に着くと、その年の豊漁と無事を祈って、グレンファークラスのボトルが丸々1本、スペイ川に注がれるのが習わしとなっている。もちろん、その大役は5代目ジョージ・グラント氏である。
 その後、釣り師は一斉にスペイ川に入って(立ち込んで)、サーモンフィッシングにチャレンジするが、その年一番でサーモンを釣り上げた釣り師には、グレンファークラス30年物が、プレゼントされるという。釣法はフライロッド(竿)によるフライフィッシング(毛針釣り)オンリー。その日は特別に大物賞も用意されているが、魚の大小よりも、その年一番のサーモンのほうが重要視されているのだ。

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News!News!News! 2007.Winter

本物か偽物か、それが問題 ついた値段は340万円

 昨年11月29日、ロンドンのボナムズで行われたオークションで、グレンエイボンのボトルが1万4850ポンド(約340万円)で落札され話題になった。ボナムズはサザビーズ、クリスティーズに次ぐ、世界第3位のオークションハウスで、ニューボンド・ストリートの本店の他に、世界40都市に支店を置く老舗である。
 今までウィスキーのオークションというと、グラスゴーのマクティアーズが有名だったが、最近ボナムズでもこのてのオークションに力を注いできた。今回のオークションはワイン・スピリッツのオークションで、その中で目玉になったのが、このグレンエイボンのボトルである。出品者は北アイルランドのアーマー地方に住む年配のご婦人で、代々彼女の家に伝わってきたものだという。
 グレンエイボンというのは1850年代にスペイサイドのバリンダルロッホ地区に実在した蒸留所で、ザ・グレンリベット蒸留所を創業したジョージ・スミスの息子ジョン・スミスが、トミントゥールに創業したデルナボ蒸留所と、同一視する向きもある。1852年にジョン・スミスの所有となり(あるいは創業)、1858年にスミス家の事業がミンモア(現グレンリベット蒸留所)に集約されたのを機に、閉鎖となっている。
 ラベルには「Bottled by the Distillers」(蒸留者によるボトリング)と明記されていることから、ジョン・スミスが蒸留ライセンスを保持していた1852年から58年の間のボトリングではないかと見られている。ただし閉鎖になった後、残っていた樽をグレンリベットに運び、そこでボトリングした可能性がないわけではないので、必ずしも1850年代のボトルとは言いきれない。
 ラベルの状態が非常に良いことや、150年以上前のボトルにしてはネックレベル(中身がボトルのどの位置まで入っているか。通常はかなり落ちる)が、正常値に近いことから、ボトルそのものを疑問視する者もいる。ただボトルの形状が通常見られる750mlではなく、14フルイド・オンス(約400ml)という変ったボトルなので、逆に本物ではないかと考えられている。あえてフェイク(偽物)で、そのようなボトルを使用するとは、考えにくいからだ。
 落札者が気になるところだが、いずれにしろ飲まれることはないかもしれない。それともかつてマッカランでやったように、注射器で吸い出してレプリカをつくる…。それなら落札者は当然、エイボン川上流に蒸留所を構える○○ということになるわけで、期待は高まるばかり。

台湾よ、お前もか
祝金車飲料蒸留所建設

 このコーナーでも台湾の躍進ぶりについては、すでにお伝えしてきているが、ついにというべきか、このほど台湾初となるモルトウィスキー蒸留所がオープンして、モルトマニアの間で話題となっている。
 建物の設計プランから、すべての蒸留設備を納入したのはローゼスにあるフォーサイス社で、同社の社長リチャード・フォーサイス氏によると、建てられた場所は台湾北東部のイーラン(Ilan)、漢字表記にすると宜蘭という場所で、建てたのはキング・カー・フード・インダストリアル社だという(おそらく金車飲料のこと)。
 同社はソフトドリンクや食品を製造・販売する台湾のメーカーで、高まるモルトウィスキー需要を受けて、蒸留事業に参入したのだという。フォーサイス社が納入したのは、モルトミルやマッシュタン、ポットスチルなどで、モルトミルは英国バフラー社製だが、それ以外はすべてフォーサイス社製。総工費1500万ポンド(約34億円)のうち、これらの器機だけでも125万ポンドかかっているという。
 マッシュタンはステンレス製のロイタータンで、一度の仕込みサイズは麦芽約4トン。ポットスチルは容量(チャージ量)1万1000リットルの初留釜が2基と、同じく容量6500リットルの再留釜が2基の計4基。年間の生産量は約100万リットルというから、かなり本格的な蒸留所である。
 すべての器機はキールン港(基隆)に水揚げされ、そこから宜蘭に運ばれた。もちろん、実際の設置にあたったのもフォーサイス社のスタッフで、彼らは蒸留コンサルタントとして、今後も見守り続けるのだという。
 まだ建物の外観しか写真で見てないが、スコッチ風のパゴダ屋根が2基あり、まるでスコットランドの新しい蒸留所を見ているよう。それにしても、恐るべし台湾で、今後モルトマニアは中国語の勉強も必要かもしれない。なにしろ漢字だらけでホームページを見てもさっぱり分からないのだ…。

ノーフォークに湖水地方
花とうさぎのウィスキー!?

 こちらもすでに、このコーナーで紹介しているが、イングランドのノーフォーク地方で建設が進められていた蒸留所が、生産を開始した模様である。
 ラベンダーで有名なノーフォークのローハム近郊に設立された蒸留所で、蒸留所名はセント・ジョージズ蒸留所に決定されたという。セント・ジョージはイングランドの守護聖人で、いわばスコットランドのセント・アンドリューの対抗馬(?)。蒸留所名に守護聖人を持ってくるあたりに、並々ならぬ決意が見てとれる。
 創業者はジェームズ・ネルストロップ氏で、息子のアンドリュー氏(皮肉な名前だが)が、マネージャーを務めるファミリー企業である。蒸留責任者には、あの元ラフロイグ蒸留所所長のイアン・ヘンダーソン氏が登用され、話題にもなった。ここも蒸留設備はフォーサイス社製で、ポットスチルはランタンヘッド型の初留釜と、ボール型の再留釜が1基ずつ。すでに2006年11月下旬から蒸留が始まっていて、日に3樽というペースで生産が行われているという。
 使用する樽はケンタッキーのジム・ビーム社のバーボンバレルで、こちらは10月にすでに入荷済み。ビジターセンターや売店、カフェができるのは2007年夏の予定である。ボトルはすでに2009年11月に販売開始を謳っていて、これはスコッチの法定義の最低3年熟成をクリアする年数である。
 さらに同じイングランドでも、今度はスコットランドと国境を接する湖水地方。ここにも新しい蒸留所の建設計画がスタートして、地元で話題となっている。湖水地方は英国一の景観美を謳われる人気のスポットで、ピーターラビットや詩人ワーズワースの故郷としても知られている。年間1000万人以上が訪れる観光地でもあるが、過去にウィスキー蒸留所が存在したことはなかった。 冷涼な気候と豊富な水に恵まれた湖水地方は、まさにウィスキー造りの理想郷。そう考えたのが、ハロルド・カリー氏とともにアイル・オブ・アラン蒸留所を立ち上げた(1995年)、息子のアンドリュー・カリー氏。蒸留所はケンダル近郊で建設が始められていて、蒸留所名もバーレイ・ブリッジ蒸留所に決定しているという。
 年間の生産量は約2万5000リットルで、2011年より1ケース(6本入り)120ポンドで会員頒布するというから、レディバンクと同じように、会員制システムを採っているのかもしれない。
他にもイングランド中部のペナン地方にも蒸留所建設の話があるというから、これから続々とマイクロ・ディスティラリーがスコットランド以外に誕生するのかもしれない。もはやイギリスを代表するウィスキーはスコッチというのは、古い…。

賛否両論、議論噴出
チャールズ皇太子のボトル

 チャールズ皇太子のハイグローブ・エディションのボトル(ラフロイグ)はよく知られているが、今回まったく別のボトルが新年早々に発売されると、アナウンスされた。
 このボトルはバローギル(Barrogill)と名付けられたボトルで、バローギルとはスコットランド最北端にあるキャッスル・オブ・メイ、メイ城のオリジナルの名前だとか。メイ城はもともと故クィーン・マザー(皇太后)が所有していた城で、遺産相続によりチャールズ皇太子のものとなっていた。
 本土北端のウィックから、サーソーに向かう幹線道の途中にある城で、現在は皇太子の休暇用の城として、地元では知られた存在。ペントランド海峡を見おろす高台に建てられていて、眼の前にオークニー諸島の島影を見渡すことができる。
 ボトリングを手がけるのはインバーハウス社で、このボトルはプルトニーを中核としたブレンデッド・モルト(ヴァッテッド)だという。プルトニーはもちろんメイ城から一番近い蒸留所で、他のモルトもすべて北ハイランド産ばかりである。ラベルは皇太子自らが描いたメイ城の水彩画で、ボトルは1本19・99ポンドで、英国全土のスーパーや酒屋で売られるという。
 ロイヤル・ファミリーの一員が、このようなビジネスに荷担することには批判もあるが、ボトルの値段のうち1ポンドは、チャールズ皇太子が支援する「北ハイランド経済活性化委員会」に、自動的に寄付されるという。ロンドンでの批判をよそに、地元もスコッチ・ウィスキー協会も、両手を挙げて歓迎しているのだ。
 これで北ハイランドの経済が活性化し、雇用が創出されればという願いもあるのだろうが、モルトファンとしては、チャールズ皇太子のボトルがこの値段で飲めればという期待もある。なにしろ、同じチャリティーでもハイグローブは高すぎた…。

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News!News!News! 2006.Autumn

ゴルフとウィスキーの妙なるマッチング

 いつ建設がスタートするのか、全世界のモルトフリークが注目していたレディバンク蒸留所の工事が、2006年9月にいよいよ始まった。建設予定費は100万ポンド(2億3000万円)だという。
 レディバンクの正式な名称は「レディバンク・カンパニー・オブ・ディスティラーズ・クラブ(Ladybank Company of Distillers Club)」。つまり世界で初となるクラブ制(メンバーシップ制)の蒸留所なのだ。ゴルフの会員権と似た発想で、世界中からメンバーを募り、そのメンバーフィーを蒸留所の建設・運営に充てようというもの。
 会員数は1250名限定で、メンバーは3250ポンド(約75万円)を払い込まなければならない。募集が始まったのは2004年で、現在までに一次募集、二次募集が行われている。すべての会員権が売れれば約9億3000万の資金調達が可能だが、すでに建設費用と、それ以降かかる運営費250万ポンドの目途はたっているのだろう。今回、建設をスタートさせた背景には、そうした事情があるものと思われる。
 建設予定地のレディバンクは地図を見ても分かりづらいが、ローランドのファイフ地方に位置している。レディバンクという名の古い農場があった場所で、現在は建物の廃墟が残るのみ。この地を選んだのは、エジンバラの空港に近いという理由によるものだ。
 創業者ジェームズ・トムソン氏によると、「メンバーは世界の30の国と地域に広がっていて、何よりもエジンバラから近いことが重要でした。それにここから車でちょっと行けばセント・アンドリュースがあり、ゴルフとウィスキーの両方を楽しむことができます」と、いう。
 ゴルフとウィスキー、どちらもスコットランドを代表する物だが、その2つを一緒にした発想は、いままであるようでなかった。ましてやゴルフの会員権システムで蒸留所を造ろうとは…。トムソン氏がこの発想を思いついたのは、南スコットランドのブラッドノック蒸留所で、ウィスキースクールを行っていた時。もともとウェブ・デザイナーとしてウィスキー関連企業の仕事もしていたが、モルト好きが高じて、ウィスキー造りを教えるウィスキースクールを始めてしまったのだ。
 そこで教えるうちに、人々がウィスキーの歴史や文化、テイスティング以上に工程に興味を持ち、実際に造ってみたいと思っていることに気付いたという。それならば、メンバーが造り手として参加できる、メンバーオンリーの蒸留所を建設するのが一番だと思ったらしい。確かに既存の商業蒸留所では、どんなに小さくて、家族経営であっても、それは不可能だろう。驚くべき発想と言わざるを得ない。
 蒸留開始は2007年。年間の生産量は3万5000リットルで、メンバーには向こう50年間(!)、年に6本ずつウィスキーが届く。もちろんこれはメンバー限定品で、その数トータルして300本。一本当たりで計算すると約2500円と、決して高くない。ただ、50年は生きられるハズもないし…。
  心配ご無用、この権利は孫・子の代まで継続可能だそうだ(ただし50年)。いったい、どんなウィスキーに仕上がるのやら。

蒸留所発ビール行き
アイラのユニークエール

 創刊号でもご紹介したアイラ島の地ビール会社、アイラエール社が、またまたユニークなビールを出して話題になっている。
 「ワーツン・エール」というビールで、これはウィスキーの仕込みで得られた麦汁(ワーツあるいはウオーツ)を、ビールの製造に使うというもの。ビール会社で仕込んだ麦汁を蒸留所に持ち込み、それでウィスキーを造るというケースはいくつかあるが(例えばウェールズのペンダイアン)、その反対というのは、あまり聞いたことがない。アイラエール社に協力して、今回麦汁を提供したのは、こちらもユニークなことでは引けを取らないブルイックラディ蒸留所。
 大麦の品種や麦芽のピートの有無は分からないが、ウィスキーとビールの仕込みには大きく異なる点がある。それはウィスキーの仕込みでは比較的多めの温水を使い、さらに糖化後に煮沸・殺菌を行わないことだ。インフュージョン法というやり方で、対してビールの仕込みではデコクション法といって、糖化後にホップを加えて煮沸・殺菌するのが一般的。当然、今回はブルイックラディで仕込んでいるので、前者のウィスキー用麦汁である。
 アイラエール社ではブルイックラディの麦汁を自社に運び、チャレンジャーとブレーミングクロスというホップを加えて煮沸、その後発酵タンクでイースト菌を加えて醸造を行っている。酵母の違い(ブルイックラディは蒸留酒用酵母)もあるのだろうが、蒸留所が通常得ている7パーセントのアルコール分より高い、9パーセントのビールができたという。
 今回はあくまでも試験用で、ボトルは1本3・25ポンド(約750円)で売られているが、収益金はすべてアイラ島のライフボート協会(救助艇の組織)に寄付されるという。どんな味がするのか飲んでみたいような、怖いような…。

時は金なり…
支払いはカードで!!

 ジュラ島といえばジョージ・オーウェルが小説『1984』を執筆した島であり、ジュラ蒸留所があることでも知られているが、お隣のアイラ島に比べて観光客が少ないのは事実。アイラの蒸留所に行く人は増えているが、ジュラまで足を延ばした人はそう多くないはず。なにしろ人口185人と極端に少なく、宿泊施設もクレイグハウスに、ジュラホテル一軒が存在するくらいであった。
 そこで、という訳ではないのだろうが、このほどジュラ蒸留所が「ジュラロッジ」をオープンさせ、観光客の呼びこみに必死になっている。5部屋ある豪華ロッジで、内装やインテリアはかなり大胆でモダン。このロッジに5泊するセットプランが、「ジュラ・フェローシップ・ブレイク」と呼ばれるツアーで、とにかくジュラ蒸留所の見学・体験も含めた、ジュラ島のすべてを満喫してもらおうというもの。
 マッシュメンと一緒に仕込みを行い、タンメンと一緒に(ラーメンではありません)発酵作業を体験することができる。さらにスチルメンと一緒に蒸留をし、ウェアハウスメンと共に樽詰め、運搬を経験。といっても働きづめでなく、その合間に島内ドライブ、釣り、ディアストーキング(鹿撃ち)まで、希望があれば楽しむことができるという。
 なにしろ島には人口の30倍の5000頭の鹿が棲息し、毎年、その数が増えないように700頭の“間引き”が必要なのだとか。人口一人当たり、約3・8頭。それだけの鹿肉はいったいどこへ消えてしまうのかと、つい余計なことを考えてしまうが、もちろんジュラロッジでは鹿肉料理も味わうことができる。
 これで一人、1000ポンド(約23万円)は、安いか高いか。ジュラ蒸留所のマネージャー、マイケル・ヘッズ氏は、「文明人はクレジットカードを持っているが、ジュラ人は時間を持っている」という。
 そう、時間だけはたっぷりと提供してもらえそうである。

昨日の敵は今日の友!?
テープカットのヨーク公

 このコーナーでもお伝えしてきたジョージ・ワシントンの蒸留所が、ついにオープン。2006年9月27日に、ヴァージニア州マウントヴァーノンで、オープンセレモニーとテープカットが行われた。
 アメリカの初代大統領ジョージ・ワシントン(1732〜99年)が、自分の領地であるマウントヴァーノンに本格的蒸留所をオープンさせたのが1797年のこと。農園マネージャーとして雇用したスコットランド人、ジェームス・アンダーソンの助言によるもので、2年後の1799年には生産量が1万1000ガロン(約4万2000リットル)となり、売上も7500ドルに達したとか。
 ワシントンの死後、ほどなくして蒸留所はクローズとなり、その後場所も分からなくなっていたのだが、5年前から発掘調査が始まり、蒸留所の場所やその規模が特定された。ポットスチル5基を備える本格的蒸留所であることが判明したのは、その時である。
 以降、アメリカ蒸留酒組合が中心となり、再建計画が進められていたが、このたび総工費250万ドル(約3億円)をかけて、ジョージ・ワシントンの蒸留所が蘇ることとなった。
 セレモニーにはヴァージニア州知事や州選出の上院議員、さらに多くの蒸留所関係者やマスコミが臨席したが、テープカットを行ったのは、イギリスのヨーク公、アンドリューだったという。アンドリューは現在のチャールズ皇太子の弟君。わざわざイギリスからヨーク公がテープカットに招かれるのだから、全米中の話題をさらったといってもいいだろう。
 もともとヴァージニア州はイギリスから渡った王党派の植民地で(1607年)、英王室とは縁の深いところ。ヴァージニアという州名も“ヴァージン・クイーン”、エリザベス一世にちなんで付けられた州名である。そんな州がアメリカ独立の中心になったというのも皮肉な話であり、ワシントンはいわば敵であったはず。
 テープカットをしたヨーク公の心中はいかに…。

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News!News!News! 2006.Summer

パブのグラスがプラスチックなんて

 グラスゴーの『ポットスチル』のオーナー、ケン・ストーリー氏が怒っているという。
 『ポットスチル』といえば、かつてギネスブックにも載った(1980年代にシングルモルトの品揃え世界一に認定)、超有名店である。一時期オーナーが変わり、『カスク&スチル』と名称変更してビールに力を入れていたが、ストーリー氏がオーナーになって再び『ポットスチル』に戻し、以前にも増してシングルモルトに力を注いでいた。現在、同店の品揃えは約500種、中には一杯250ポンド(約5万4000円)もするものもあるという。
 そのストーリー氏が怒っているのは、グラスゴー市当局が条例案として提出予定の法案に対してである。「すべてのパブやバーでガラス製品を禁止する」というのが、その法案で、来年一月に施行されれば、パブやバーからあのパイントグラスや、瓶入りビールが消えてしまうことになる。
 「フーリガンや若者がグラスやボトルを割ってしまうケースが多発し、非常に危険である」というのが、その理由だが、「一杯250ポンドもするようなシングルモルトをプラスチックのカップで出せというのか」と、ストーリー氏は怒っているのである。
 グラスゴーといえば、かつての工業都市。労働者階級が多く、芸術・文化の都であるエジンバラとは好対照。スポーツはもちろん、フットボール(サッカー)。中村俊輔が所属するセルティックスの本拠地としても知られているが、この街にはもう一つ、レンジャーズというクラブもある。この両者の試合は“グラスゴーマッチ”と称され、荒れることでも有名である。
 どちらが勝つにしろ負けるにせよ、パブは毎回大騒動となる。パブの周りには割れたグラスやボトルが散乱し、確かに危険極まりない。ボトルビール(若者の間で最近ラッパ飲みが流行っている)やパイントグラスがなくなればと、市当局が考えたとしても不思議ではないのだが、スコットランド政府観光局は、「かえってグラスゴーが危険だと内外に宣伝するようなもの」と手厳しい。
『ポットスチル』のストーリー氏も、「法案が通過するなら商売を止める」と、徹底抗戦の構えなのだ。…思わず、味方したくなる。

世界に広がる
アイラの輪!?

 「南米ペルーの片田舎でアイラという地名を見つけた時は、本当にビックリしてしまった」と、語るのはアイラ島のブルイックラディ蒸留所の、マーク・レイニエー氏。地質分布図で世界の地形を調べていた時に、偶然発見したのだという。
 調べてみるとこのアイラは、スコットランドのアイラ島といくつかの共通点があることがわかった。どちらも海に面していて(ペルーのアイラは太平洋に面した港町)、観光客にも人気があり、そして酒を造っていることだ。アイラ島はもちろんモルトウィスキーだが、ペルーのアイラはぶどう原料のブランデー、ピスコの生産地である。
 ということで今年のアイラフェスティバルにはレイニエー氏の発案で、南米ペルーのアイラの町長が招かれることになった。7500マイル(約1万2000キロ)を旅してきたミゲル・ロマン・ヴァルディヴィア町長は、フェスティバルで友好・親善の挨拶をしたが、アイラという地名の由来については、こう説明したという。
 「もともとインカ時代にはリスラ(Risla)と言っていたのが、いつの間にかイスラ(Isla)となり、1830年代にイギリスの船員たちがやって来るようになって、現在のイスラ(Islay)に変わってしまった」
 北米やオーストラリア、ニュージーランドにはスコットランドからの移民が多く、出身地の地名を多く発見することができるが(アイラという地名はカナダやアメリカ、南アフリカなどで複数発見できる)、ペルーのアイラは、それとは事情が異なるようなのだ。そういえば、日本にも“あいら”という地名があったような気がするが(鹿児島県姶良郡)、もちろんアイラ島と関係がある……ハズもないか。

ケンタッキーに
新蒸留所が誕生か?

 このところのバーボンウィスキー人気を受けてか、ケンタッキー州で新しい蒸留所の建設計画が明らかになっている。
 建設予定地は西ケンタッキーのフルトン郡にあるヒックマンの街で、建てるのはテネシー州のメンフィスで弁護士をやっているレイ・ジェーミソン氏と、息子のヒュー・ジェーミソン親子。すでに建設に着手していて、この秋にはビジターセンターも完成、同時に蒸留をスタートさせるとしている。バーボンウィスキーだけでなく、他のスピリッツも同時に製造する予定とか。
 初年度の生産量は約2500樽、ボトルにして5万ケース。2年目以降は5000樽、10万ケースを予定している。総工費は77万ドル
(約9000万円)で、15人のスタッフを地元で雇用する予定という。
 地元のフルトン郡ではこの計画を歓迎しているというが、このての計画は予断を許さないというのが、正直なところ。はたしてケンタッキーバーボンに新星が登場するのか否か。その結論にはもう少し、時間がかかるのかもしれない。

樽も酵母も、
すべてオーガニック

 スペイサイドのベンローマック蒸留所から、「オーガニック・ベンローマック」の発売が、先頃発表された。
 発売はもちろん、オーナーであるGM社。オーガニック・ウィスキーというと、スプリングバンクやブルイックラディでも、すでに試みられているが、今回のベンローマックは、大麦だけでなく、酵母や樽までオーガニック。有機栽培、無農薬に徹底的にこだわったのだという。樽や酵母がオーガニックなのは、今回のベンローマックが初めてのケース。
 それって、何という気がしないでもないが、仕込みは蒸留所が再オープンした1998年から、年一回、ワンバッチだけ行われてきたというから、当然生産量は限られている。全世界で2400ケース、本数にして1万4400本。
 さらにこの「オーガニック・ベンローマック」にはもう一つユニークな特徴があって、使用している物はすべてアメリカン・ホワイトオークの新樽なのだという。つまり、スコッチで通常用いるバーボンの古樽では、厳密な意味でのオーガニック樽には、ならないからなのだ。
 そうまでしてこだわった味とは一体、どんなものなのか、早く飲んでみたい気がする。日本での発売は秋以降とのこと。今から待ち遠しい。

アイラ島への出入り禁止
グラント会長の言い分

今回のNews News News!では、番外編(?)として、グレンファークラス会長のジョン・グラントさんの、知られざるエピソードを紹介しよう。インタビューでは載せるスペースがなかったからだ――。
 グラント会長は世界中あらゆる国を飛び回って、文字通りグレンファークラスの拡販に努めてきたが、もちろん、その間スコットランドの各地を商用、プライベートで旅行することも多かった。ゴルフが趣味で、スコットランド各地でプレーしてきたが、唯一、アイラ島だけが、あることがきっかけで、“出入り禁止”になっているのだという。
 その出来事は、アイラ島のマクリーホテルに泊まってゴルフをしていた時に起こった。マクリーホテルは島唯一のゴルフ場のあるホテルで、ゴルフの後は“19番ホール”のバーで一杯というのが、スコットランド流。もちろんアイラ島のホテルなのだから、シングルモルトは豊富に揃っている。そこで仲間と飲んでいる時に、偶然ウォレス・ミルロイ氏と、その連れに出会った。ウォレス氏は著名なウィスキーライターで、連れはウォレス氏が連れて来た『サンデータイムス』の記者であった。アイラ島の蒸留所を特集するため、わざわざロンドンからやって来たのだ。
 ジョンさんとウォレス氏は旧知の間柄なので、その晩はスコットランド式の大宴会となった。ジョンさんは翌土曜日のプレーがあるため、深夜すぎに部屋に戻ったが、その時『サンデータイムス』の記者氏は、ホテルの床を這いずり回っていたという。翌日ゴルフから戻ってきたジョンさんが見たものは、同じ格好で依然として床を這い回っている件の記者氏。どうしたことかと思ったが、その日の夕刻、自宅に戻るためジョン氏はアイラ島を後にしてしまった。
 後日、すっかりそんな出来事を忘れてしまっていたジョンさんの元に一通の封書が届いた。アイラ島の全ての蒸留所のマネージャーの連名で、「お前は二度とアイラ島に来るな!!」と、そこには認められていた。
 件の記者氏はついに復活することができず、一つの蒸留所も取材することなく、ロンドンに帰ってしまったのだとか。飲ませたのはグレンファークラスのジョン・グラントだということになり、それで出入り禁止になってしまったのだ。
 「飲ませたのは私ではなく、ウォレスなんだが…」というのが、御本人の弁だが、これを濡れ衣といっていいものかどうか。結果としてグレンファークラスのライバルであるアイラの蒸留所は、一行も紹介されなかったのだから。アイラ島でゴルフができなくなることなんて、お安いことかもしれない。それって、うがちすぎ…。

 

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News!News!News! 2006.Spring

落札された、 ヒラリー卿のウィスキー

3月下旬に、ニュージーランドのオークランドで開かれたオークションで、「スコッチの歴史」ともいえる一本が、3万ドル(約350万円)で落札され、話題になっている。
 その一本とは、シリアル番号“bP”が入った、ロイヤルサルートの50年物。2003年に、エリザベス女王の戴冠50周年を記念して、255本だけボトリングされた物で、日本にも3本だけ輸入されて話題になった。当時の販売価格は1本100万円である。
 件のナンバーワンのボトルはエリザベス女王ではなく、世界で初めてエベレストに登ったエドモンド・ヒラリー卿にプレゼントされた物。
 ご存知のようにヒラリー卿はニュージーランドの出身だが、英国隊の一員として1953年、シェルパのテンジン・ノルゲイとともに、初めてエベレストの頂上に立った人物。
 1953年という年は、エリザベス女王即位の年で、その記念式典に華を添えたのが、この英国隊のエベレスト登頂である。というより、それは国の威信をかけた世紀の登頂であった。
 ロイヤルサルートは、この式典のためにつくられたブレンデッド・ウィスキーで、王礼砲(ロイヤルサルート)の21発にちなんで、21年熟成の原酒が使用されていた。
 と同時に、シーバス・ブラザーズ社では将来の王室記念行事にそなえて、この年、特別の樽を仕込んでいる。50年たった、その特別の樽からブレンドされたのが、ロイヤルサルートの50年物なのである。
 今回ヒラリー卿が、その記念のボトルをオークションに出品したのは、ライフワークともいえる「ヒマラヤン・トラスト」の資金集めのため。
 ヒラリー卿は、エベレスト初登頂の栄誉を称えられて貴族の称号“サー”を授与されているが、登頂後の人生の大半をネパールの開発と、シェルパ族のために捧げている。「ヒマラヤン・トラスト」もその一つで、そのために、ナンバーワンのボトルを競売にかけたのだ。
当然落札者に関心が集まったが、落札したのは、ボトルをプレゼントした当のシーバス・ブラザーズ社。結果的にヒラリー卿の慈善事業に3万ドルを寄付した形になったが、「記念すべきナンバーワンのボトルを再びスコットランドに持ち帰ることに、我々は大いなる誇りを抱いている」とのコメントを発表している。
収まるべきところに、収まったというべきかもしれない。

モルトに続いて、
バーレイよ、お前もか!

 なんとハイランドパークのバーレイが死んだとのニュースが、3月中旬に飛び込んできた。バーレイは今年14歳になる、ハイランドパークの名物ウィスキーキャットである。現役の“マウザー”(ネズミを獲ることからこう呼ばれる)として、孤軍奮闘してきたが、2004年の9月に亡くなった相棒ネコのモルトと同じように、蒸留所前の道路で車に轢かれて死んだという。
 ハイランドパークはオークニーのメインライド島の丘の上にあり、蒸留所前の道路がちょうどカーブしていて、見通しがすこぶる悪い。人間も道路を横断するのに、やや危険を感じることがあるのだから、バーレイやモルトが轢かれたとしても、おかしくないのかもしれないが、なんともヤルセナイ。生前の2匹を知っていただけに、無念の思いが募るばかりである。
 それ以上に、蒸留所スタッフの悲しみは、はかり知れないものがあると思うが、200年以上続く、ハイランドパークのマウザーの歴史に、これで終止符が打たれないことを祈るばかりである。EUの衛生局の通達で、蒸留所でネコを飼うことは、年々難しくなっているのだ。
――バーレイよ永遠なれ!


アンスト島の空軍基地跡
に移設が決定か…


 シェットランド諸島のブラックウッド・ディスティラーズ社は、ラーウィック近郊のサウス・ネスティングで蒸留所建設の準備を、2年以上の歳月をかけて進めてきた。しかしここに来て、蒸留所の建設場所の見直しの話が持ち上がっている。  当初は昨年の半ばあたりからの操業開始を予定していたが、最終的な建設許可が下りず、現在でも建設のめどは立っていない。しかしその間にも、ジンやウォッカ、リキュールなどのウィスキー以外の製品は、本土の工場で造られ続けているのだから、皮肉な話である。
 今年の3月になり、蒸留所の建設場所の見直しの機会が与えられたとのコメントが、チーフエグゼクティブのキャロライン・ホウィットフィールド女史によって出された。
昨年の夏、シェットランド諸島の最北に位置するアンスト島のサクサ・ヴォードの空軍施設が閉鎖されたため、そこを新たな建設の候補地として視野に入れたとのこと。
  最近になって、この空軍施設の競売の入札者の1人とその件で合意し、入札の一部をブラックウッド社が担うことになった。もし落札できたら、ジンやウォッカの製造工場もアンスト島におくことができると、ホウィットフィールド女史は話している。  なお空軍施設跡の競売は2月に終了している。落札者の公表は、3月末の予定。はたして、頓挫しているブラックウッド蒸留所に、光明が射すのかどうか。


シンボルマークはラベン
ダーな、新しい蒸留所?

 英国のノーフォーク地方というと、フェンという湿地と運河がどこまでも広がる長閑な田園といったイメージで、観光の目玉といったら“ノーフォーク・ラベンダー”くらいしかないと思っていたら、当地に新しい蒸留所が建設されるということで、ちょっとした騒ぎになっている。
 すでに地元のカウンシルの建設許可は下りていて、早ければ今年の9月にオープン予定とか。
 建設予定地はセッドフォードの北40kmの所にあるローハムという田舎町。地元産の大麦と豊かなノーフォークの水を使って仕込み、最低4年の熟成の後、ウィスキーとして製品化するという。
 それまでの運転資金として100万ポンド(約2億円)近くかかるが、それはビジターセンターをオープンし、そこで地元の物産などを売って、それを充てたいとしている。日に150人の観光客を見込んでいるというから、なかなか鼻息が荒い。地元の人々の期待も大で、目玉の乏しかったノーフォークに、これで多くの人が訪れると喜んでいる。
 確かにロンドンから車で2時間くらいと、交通の便も悪くないので、休日などに訪れる人は多いだろう。特にラベンダーの咲く7月から8月にかけては、多くの観光客で賑わうのは事実である。しかし、日に150人。しかもその金をアテにしているとなると、取らぬタヌキの皮算用……とならぬことを、祈るばかりである。
 ちなみにウィスキーのブランド名はまだ決まっていないが、会社名は「ノーフォーク・ウィスキー・カンパニー」と決定。イングランドでは南西部のコーンウォールに次ぐ蒸留所で、コーンウォールはスコットランドやアイルランドと同じケルト圏だが、ノーフォークは典型的なアングロ・サクソン文化圏。
 「ケルト圏以外では初の蒸留所」というのが、地元の自慢でもあるのだが。


蒸留所の幽霊も大喜び!?
蘇るか古代ウィスキー

 ユニークなチャレンジで数々の話題を提供してくれているアイラ島のブルイックラディ蒸留所が、またまたやってくれた。今度は「古代品種」といわれるベア大麦で、ウィスキーを仕込んだのだという。最初の蒸留が行われたのが今年の1月25日、「バーンズ・サパー」の日で、アイラ島では数百年ぶりのことだとか。
 そもそもベア大麦というのは六条大麦の一種で、古代メソポタミアでは紀元前5000年くらいに栽培が始まったという。スコットランドへ伝わったのは西暦9世紀頃のことで、それはヴァイキングによって伝えられたとされている。
 その後、スコットランドやイングランド北部に広く普及したが、16世紀頃に品種改良が進み、優良品種が登場したことで、スコットランドでも徐々に栽培する農家が減っていった。現在ではオークニー諸島のウエストリー島くらいでしか栽培されていない、「幻の大麦」なのである。
 おそらくアイラ島でも、18〜19世紀頃には廃れてしまったと考えられるが、それ以前、島で作られていたウィスキーはみな、このベア大麦から造られていたのだ。ブルイックラディの今回のチャレンジは、ウィスキーがまだ「ウシュクベーハ(命の水)」と呼ばれていた、古き良き時代の味を再現しようというもの。
 栽培されたのは、アイラ島のダンロシット・エステート内の20エーカー(約2万5000坪)の畑で、現行品種の大麦と比べて、収穫量は1エーカー当たり5分の1に過ぎなかったという。麦芽に加工し、粉砕機でグリストにする時も、ハスク(外殻)が多すぎてローラーの幅を調節するのに苦労し、さらに仕込みでも、このハスクがレイキ(熊手)の回転の邪魔になり、動かすのに難儀したとか。逆にドラフ(搾りカス)は通常の3倍にもなり、これは農家の牛が喜んで食べたという。
 しかしアルコール収量は当初の予測よりは多く、麦芽1トン当たり、280〜300リットル(100パーセントアルコール換算)を達成。
 「これなら十分満足のいく数字。なによりアイラ島のDNAを持ったウシュクベーハを造れることが、最大の喜び。我々のこのチャレンジを、蒸留所のゴーストたちも喜んでくれるでしょう」とは、責任者のジム・マッキューワン氏のコメント。いかにもマッキューワンらしいコメントだが、実際に飲めるようになるのは数年先のことだという。
 どういう味に仕上がっているのか、今から楽しみである。

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News!News!News! 2006.Winter

オークの樹のオーナーになれば、森林が復活!?

マッカラン蒸留所が森林再生計画の一貫として、敷地内のイースター・エルヒーズ・ハウスの庭に1000本のオークの幼木を植え、一般に向けて販売を始めた。購入すると、その木の脇には買った人の名前入りのプレートが添えられる。その売り上げ金は、森林再生の継続のために投資されるとのこと。
また幼木の購入者には、限定版のウィスキー『ザ・マッカラン・ウッドランドエステート』がもらえるという特典が付く。なおスペイサイド地方では、その土地原産の様々な品種を含む4000本もの木々を2006年の春までに植樹することが計画されている。
最初の植樹はスペイサイド地区の土地管理人スチュアート・マッケンジーやクレイゲラキー蒸留所マネージャーのアレクサンダー・トゥイーディらの立ち会いのもと、クレイゲラキー蒸留所で行なわれた。
 マッカランでの植樹に際しマッケンジーは、「幸運にもマッカラン蒸留所は、とてもよい土地に恵まれています。森林を再生して次世代への遺産として残すべく、彼らとは積極的に関わっていきたい。この計画は、あらゆる職業や地位の人々が彼らが所望する“一杯”のために、何らかの寄与をする機会を与えるものなのです。コレクターやマッカランの愛飲家から、環境維持に強い関心を寄せる人たちまで、幅広い層からの大きな需要を見込んでいます。また購入者への証明書の発行も検討中であり、植樹が完遂したら現地への来訪も可能になります。」とコメントしている。

アイラ最北の蒸留所から
スペシャルな新商品!

バーン・スチュワート・ディスティラーズ社は、2種類のスペシャル・エディションのブナハーブン18年と25年の販売を開始した。
いずれも従来の12年のものと同じようなダンピー型のボトルに詰められているが、色はダークグリーンではなくアンバー系。
25年はラベルにエンボス加工が施されてあり、真鍮製の部品が使用されたハンドメイドの木製ケースに収められている。

世界初の会員制蒸留所、
2007年に始動!

 2003年に世界中から300人もの出資者を募り発足した、ファイフのレディバンク蒸留所は2007年に操業を開始する予定。そしてこの度、蒸留所は第2回目の出資者の募集を始めた。出資額はイギリス国内の在住者は3250ポンド(約70万円)、海外在住者は3950ユーロ、もしくは4750米ドルと定められている。
出資者は自動的にメンバーズ・クラブの会員となり、この新しい蒸留所のウィスキーを優先的に入手できるばかりでなく、一般は立ち入ることのできない特別な場所への出入りが許される。第1回目の出資を行なった23か国からの300人の会員には、最初の50年間のヴィンテージのウィスキーを毎年6本ずつか、それと同等の特典を受け取る権利が与えられている。また、記念ボトルや限定ボトルの入手も可能。1250人限定でウィスキー造りの一端を担う希望者の申し受けも、会員から行なっている。
世界に類を見ないこの会員専用のクラブは、ファイフのセント・アンドリュース近郊に建てられる予定。

ブルイックラディが、
4つの“世界初”を発売!

ブルイックラディ蒸留所は、それぞれが“世界初”と謳った4種類の個性的なウィスキーをリリースした。『オクトモア2 ザ・ビースト 2004フューチャーズ』『トレスタリグ 2005フューチャーズ』『アイラ・グローン 2004フューチャーズ』『オーガニック 2003フューチャーズ』の4つだが、実際にはラベルにこのとおり表記はされていない。
“野獣”のサブタイトルが与えられたオクトモア2は“世界一ピーティなウィスキー”、トレスタリグは“世界初の3回蒸留されたアイラウィスキー”、アイラ・グローンは“世界初のアイラ産の大麦だけで造られたウィスキー”、オーガニックは“世界初の有機栽培された大麦だけで造られたアイラウィスキー”だとの説明がされてある。

インバーゴードン蒸留所、
売却が決定か!?

 ヨーロッパでは最大であり、スコットランドに現存する7つのグレーン蒸留所のひとつでもあるインバーゴードンを、ホワイト&マッカイ社が手放そうとしている。
これは同社が現在進めている企業再編の一環として計画されたもので、現在業績を伸ばしつつあるプレミアムブランド以外の分野を切り離そうというもの。
巷ではウィリアム・グラント&サンズ社が1750万ポンド(約36億7500万円)で買収かとの噂も流れたが、それに対する同社のコメントは現段階では出されていない。

スコッチの新しい法律で
“ヴァッテッド”が消える!?

スコッチウィスキーを新たに定義する法律が2007年の春から施行されると、SWA(スコッチウィスキー・アソシエーション)が発表した。
法律改正のいきさつは、ディアジオ社が招いたいわゆる『カードゥ=ピュアモルト論争』に端を発する。カードゥとグレンダランのヴァッテッドモルトを定義の曖昧なピュアモルトと称し、シングルモルトとも受け取られかねない『カードゥ』のブランド名で売り出した一件だ。
この論争は一応の決着を見たが、曖昧な定義をこのまま放置しておくのはよろしくないと判断したSWAが、この度腰を上げたという訳である。
この法律によりスコッチウィスキーは、『シングルモルト』『シングルグレーン』『ブレンデッド』『ブレンデッドモルト』『ブレンデッドグレーン』の5つに分類されることになり、ヴァッテドモルトやピュアモルトといった呼称は非公式なものとなるというが、「紛らわしい」「ブレンデッドモルトとは何ごとか」といった、反対の声も多い。はたして、その決着は…。


ディアジオから希少な
モルトが続々リリース。


 ディアジオ社は、12年から36年熟成までの10種類のクラシックモルトセレクションをリリースした。
そのうちの5種類は閉鎖された蒸留所からのもので、ブローラ30年、ポートエレン25年、ヨーロピアンオークで寝かされた希少なコンバルモア28年など。中でももっとも高価なのが495本ボトリングされたグレンユーリー・ロイヤル36年で、蒸留所は20年前に閉鎖されている。
操業中の蒸留所からはタリスカーの25年やカリラの25年、そしてラガヴーリンの12年など。現役の蒸留所からのもので、もっとも古いのがオード30年だ。
いずれも限定品であるため、人気銘柄は早期の完売が予想される。

適度な飲酒は、
肥満を防止!?

 前々号ではシングルモルトに抗ガン作用があるといった記事を紹介したが、今回は肥満防止にも効果があるという話。
シングルモルトに限らず、適度にお酒を嗜む人はまったく飲まない人に比べて、肥満になる傾向が低いとの研究結果が発表された。この論文を発表したのはテキサス工科大のアーメッド・アルフらで、生物医学研究論文を専門に扱う出版者、バイオメッド・セントラルが発行する雑誌『BMCパブリックヘルス』に掲載された。それによると“適度にお酒を飲む人”は、“まったく飲まない人”に比べ肥満になる傾向が7割程度だという。ただし“ヘビードリンカー”は、“まったく飲まない人”に比べ肥満になる傾向が1.5倍になるとのこと。やはりお酒も、過ぎたるは及ばざるがごとしということか。

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News!News!News! 2005.Autumn

日本人よりスコッチ好き、 タイ・台湾の急成長

前号で2004年に輸出された瓶詰めスコッチの本数が9億5300万本だったと、お伝えしたが、このほどその内訳が明らかになったので、それをご紹介しよう。
1位がフランスの1億3600万本で、以下Aアメリカ(1億1800万本)、Bイギリス(1億1400万本)、Cスペイン(1億1200万本)、Dタイ(4400万本)、Eドイツ(3600万本)、F韓国(3400万本)、Gオーストラリア(2900万本)、H南アフリカ(2700万本)、Iギリシア(2700万本)となっている。
フランス、アメリカ、スペインは順当なところだと思うが、急成長しているのがタイで、これは前年比19パーセントの伸びだという。3位のイギリスというのは、もちろん国内消費のこと。イギリスは1990年がピークで1億4700万本のスコッチが飲まれていた。それがこのところ毎年のように前年比マイナスだったのに、ここへきて微増に転じているのだという。いかに若者にウィスキーを飲ませるか、各メーカーがここ数年取り組んできた戦略が、ようやく実を結びつつあるといったところだ。それにしても、上位10番以内に日本が登場していないのは、なんとも寂しいかぎり。
ただし、これは本数ベースで、金額ベースでは日本は約6160万ポンド(123億円)の第8位と健闘している。ただ、金額ベースでもここ数年急成長をとげている国がある。特に台湾は8230万ポンド(約165億円)で、日本を抜いて堂々の第6位。ちなみにアジア・ナンバーワンは韓国の1億2550万ポンド(251億円)で、これは第4位の数字となっている。
タイといい台湾といい、このところの急成長ぶりは目を瞠るものがある。それぞれの人口を考えれば、日本人よりはるかにスコッチを飲んでいるといえそうだ。これで中国が加わったら、どうなるのだろう……。


ネーミングで勝負! ?
マイナス6度に猿の肩

 まだ日本に正式には入ってきていないが、本国イギリスでユニークなボトルが2種類発売されたので、そのご紹介。
 ひとつは「J&B-6℃」というボトルで、これはほとんど色のついていない、無色透明に近いウィスキーだ。かつてマン島に「ホワイトウィスキー」というのがあったが、このマイナス6℃はそれとは違って正真正銘のスコッチウィスキー。つまりスコットランドで糖化・発酵・蒸留され、オークの樽で3年間熟成という、スコッチの法的定義はすべて満たしている。では何故、無色透明に近いかというと、使用する樽を逆に厳選しているからだ。すべてバーボンバレルのリフィルで、しかも何度も使って、ほとんど樽材成分が溶出しない状態の、いわば古樽を使っているのだ。
 「J&B」はジャステリーニ・ブルックス社が誇るブレンデッドで、「ジョニーウォーカー」についで、スコッチとしては世界第2位の売り上げを誇っている。しかし昨今の若者のウィスキー離れは深刻で、年々販売量を落としていた。そこで、ウォッカやラムといったホワイトスピリッツを好む若者向けに開発されたのが、このマイナス6℃。同社のブランド・ダイレクター、イアン・ケネディ氏によると、コーラやジンジャーエールで割ってもいいが、一番のお薦めはトニックウォーターで割ったハイボールだという。なんだか妙に懐かしい響きではあるのだが。
 ちなみにマイナス6℃というのは冷却濾過の際の温度のことで、通常ボトリングの前にどのブランドでもこの処理を行うが、0から4℃というところがほとんどで、ここまで低温で処理するウィスキーは珍しい。それだけピュアでクリーンなウィスキーということができるが、これも現在のブランド志向(ノンチル、カスクストレングス)とは逆を行っている。すべて、若者向け……というコンセプトなのだろう。
 もうひとつはウィリアム・グラント&サンズ社が発売した「モンキー・ショルダー」。モンキー・ショルダーとは、かつてモルトマン(麦芽づくりをする職人)たちが患った肩から腕にかけての痛みのこと。いわば前世紀の遺物のような言葉なのだが、それを3匹の可愛らしい猿で表わし、若者向けならぬ女性受け(?)をねらったのが、このボトルである。
実際ボトルのショルダー部分に3匹の金色の猿の飾りが取りつけられていて、思わず「カワイイ〜」と、女性は叫ぶのだとか。もっともこの「モンキー・ショルダー」には同社がスペイサイドに所有する、グレンフィディック、バルヴェニー、キニンヴィの3つのモルト原酒がヴァッティングされていて、モルトファンからは、別の意味で注目されている。
 それはシングルモルトしては一切ボトリングされていないキニンヴィの存在で、一説によるとヴァッティングの90パーセント近くがキニンヴィではないかともいう。もしそれが本当ならば、こんな興味深いウィスキーはない。「キャーキャー」言っているのは、女性だけではないのだ。


尼さんの島からの贈物
世界一希少なボトル

南イングランドのスウィンドンで酒屋を営むケン・トーマス氏のもとに、ある日1本のボトルが持ち込まれた。古ぼけた買い物袋から無雑作に取り出されたボトルは、1913年に閉鎖されたアイルランドのナンズ・アイランド蒸留所(Nun’s Island)の25年物のシングルモルトウィスキーであった。
持ち込んだのは近所の老婦人で、知り合いの女性からもらったものだという。なんでも蒸留所の最後のオーナーが馬好きで、それが高じてウィスキーの蒸留ビジネスを辞め、イングランドで競走馬のトレーナーとしての仕事を始めた。その際にアイルランドから持ってきた最後のボトルのうちの1本で、彼の死後、親しい女友達に託されたものだという。その女性も亡くなり、ボトルは件の老婦人にプレゼントされた。この老婦人はウィスキーにはまったく興味がなく、「売れるものなら売りたい」と言って、先のトーマス氏の店に持ち込んできたという訳である。
 当初トーマス氏は2〜3万ポンドくらいと踏んでいたらしいが、いろいろ調べているうちに、これがナンズ・アイランド蒸留所の最後の1本である可能性が高まってきた。そこで今年8月にウェブサイトで、10万ポンド(約2000万円)という値段をつけて売りに出したという次第。これは1本のウィスキーの値段としては過去最高額。もちろん売れればの話だが、価格については相談に応じるとしている。ところが話はこれだけでは終らなかった。
 このニュースが流れるやいなや、トーマス氏のもとにゴルウェイに住む老紳士から電話がかかってきた。ゴルウェイはナンズ・アイランド蒸留所があった場所で、この老紳士も別のボトルを所有しているというのだ。それは「アイリッシュ・ウィスキー・リカー」と謳った20年物のボトルで、ラベルは違うが、こちらも正真正銘ナンズ・アイランドのボトルだという。蒸留所に出入りしていた納入業者の叔父から1950年代にもらったものだとか。
希少性ということではどちらも同じで(おそらく、これが残された最後の2本)、トーマス氏によるとこちらも10万ポンドの値段がつくという。いったい誰が買うのか、野次馬としては、そちらの方が興味津々。


連邦議事堂の石を使って
復元される蒸留所とは

 本号の特集でジョージ・ワシントンの蒸留所についてお伝えしているが、先日バーボンウィスキーのマスター・ディスティラーが集まって、マウントヴァーノンで「スペシャル・ヴァッテッド・アメリカン・ウィスキー」がつくられた。参加したのはジャック・ダニエル、ジム・ビーム、メーカーズ・マーク、ワイルドターキーなどで、それぞれマウントヴァーノンの秘密の場所で熟成させていた樽から少量ずつヴァッティングしたという。
指揮をとったのはヴァージニア・ジェントルマンのジョー・ダングラー氏とメーカーズ・マークのデイブ・ピッケレル氏。それにクルーザン・ラムのロン・コール氏の3人。ヴァッティングされたスペシャル・ウィスキーは再び樽にもどされ、マウントヴァーノンの、これまた秘密の場所に保管された。
 このスペシャル・ウィスキーは来る9月28日に250本だけボトリングされ、オークションにかけられるという。その売り上げはすべてマウントヴァーノンの教育プログラムの一環として使用される。それとは別に、この日蒸留所の発掘現場では、復元作業の最初の礎石が置かれるセレモニーが開かれるという。
発掘調査と蒸留所復元のために、200万ドルという資金を出したアメリカ蒸留酒組合とワイン・スピリッツ卸商組合の代表が集まり、いわば起工式を行うのだ。しかもこの礎石に選ばれたのは、アメリカ連邦議会議事堂に使われていたオリジナルの砂岩だというからスゴイ。
ワシントンの蒸留所復活に向けて、いかにアメリカ政府が力を入れているかを物語るようなエピソードだ。最近、明るい材料がないアメリカにとって、これがカンフル剤になるかどうか。ウィスキーファンならずとも注目したいところである。

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News!News!News! 2005.Summer

趣味がこうじて蒸留所 スウェーデンよお前もか

 「シングルモルト・ブーム」はイギリス国内にとどまらず、ヨーロッパ各地にも飛び火して、このところフランスやドイツ、フィンランドにもマイクロ・ディスティラリーが相ついで誕生しているが、今回紹介するのはスウェーデンのマックミラ蒸留所。設立されたのは1999年で、創業者はマグナス・ダンダネル氏と7人の仲間たち。もともと彼らは大のシングルモルト・ファンで、趣味がこうじてついに自分たちの蒸留所をつくってしまったのだ。
 マックミラはマグナスさんの出身地で、ストックホルムから北に200キロほど行ったところにある、美しい村だという。当初、容量100リットル足らずのポットスチル1基を導入して、テスト蒸留をくり返してきた。アドバイスしたのは、ウィスキー評論家のジム・マーレイ氏である。彼らがこだわったのは、スウェーデン・オリジナルのモルトウィスキー。原料となる大麦はスウェーデン産で、酵母も自国のものにこだわった。香味の異なる2つのレシピを用意しているのもユニークで、ひとつは「マックミラ・エレガント」と名づけられたノンピートのもの。もうひとつがスモーキーな「マックミラ・スモーク」。製麦も独自に行うが、なんとその時使用するピートもスウェーデン産で、さらに昔からハムやベーコンの燻製に用いてきたジュニパー(杜松)の枝を焚き込むのだという。
 熟成もユニークで、用意した樽は3タイプ。ひとつはフレッシュ・バーボンで、もうひとつがフレッシュ・シェリー。そして3つ目がスウェーデン産オークの新樽(!)である。しかも熟成が早くなるようにと、すべて30リットルの小樽に作りかえての使用である。もちろんスウェーデン産オークというのも初めてだが、すべて30リットルの小樽というのも珍しい。手頃な価格で買いやすいというのが、その理由である。しかも先の2つのレシピに、それぞれ3種の樽を用意しているから、合計6種類の製品ができあがることになる。
 パイロット蒸留を終え、本格的に機材を導入して生産を開始したのが2002年。「マックミラ」では、樽での直接販売というシステムを取っている。客は前記6種の中から好きなものを選んで発注し、蒸留所でそのまま熟成。3年で十分飲めるようになるというが、いつボトリングするかということも含め、すべて消費者の好みにまかされている。こんな樽なら、ひとつ買ってみたい……。

一秒間に30本!脅威の瓶詰めスコッチ

 スコッチ・ウィスキー協会(SWA)が集計した統計数字が先頃発表された。それによると、2004年に輸出された瓶詰めスコッチの本数は約9億5300万本で、そのうちシングルモルトは5500万本。シングルグレーンやヴァッテッド・モルトはほとんど数のうちに入らないだろうから、シングルモルトを除いた残りの9億本近くはブレンデッドということになる。本数で見るかぎりは、まだまだブレンデッドは健在である。
 シングルモルトの5500万本という数字は前年比12%の伸びで、これはポンドに換算して約3億5000万ポンド(約700億円)。全体が22億ポンド(約4400億円)だから、シングルモルトは金額ベースで見ると、すでに輸出総額(瓶詰めスコッチ)の16%近くを占めていることになる。しかも毎年前年比2桁台の伸びを示しているのだから、SWAがシングルモルトに力を入れたくなる理由も、うなずけようというものだ。
 ちなみに9億5300万本という数字は、一秒間に30本(!)の割合で輸出されている勘定になる。シングルモルトにかぎっても、一秒間に約1.8本割合で輸出されているのだ。

アルタベーン再オープン
残りの2蒸留所の運命は

 シーバス・ブラザーズ社が、スペイサイドのアルタベーン蒸留所を再オープンすると発表。これは同社の「シーバスリーガル」や「ロイヤル・サルート」などの売り上げが好調で、原酒確保の必要性が生じたため。シーバス社のスコッチの売り上げは昨年600万ケース(12本入り)を達成したが、これは前年比16%強の伸びであった。
 同社は現在スペイサイドに、ストラスアイラ、ザ・グレンリベット、グレングラント、アベラワー、ロングモーン、グレンアラヒーの6つの稼働蒸留所と、グレンキース、ブレイヴァル、アルタベーンの3つの休止蒸留所を所有しているが、アルタベーンの再操業で、稼働蒸留所は7つということになる。親会社であるペルノがアライド・ドメック社を買収するという話が現在進行中で、予断は許さないが、グレンキースやブレイヴァルがアルタベーンと同じように、再操業という日がくるのだろうか。

シングルモルトがガンに
効くってホント!?

 赤ワインが健康に良いということで、赤ワインブームが起きたのは記憶に新しいが、スコッチの本場であるグラスゴーで、このほど「シングルモルトは赤ワイン以上に抗ガン作用がある!」という研究成果が発表され、話題になっている。発表の舞台となったのは、グラスゴーで開かれた『ユーロメッドラボ Euro Med Lab 2005』という、国際的な薬事学会。ガン細胞を消滅させるエラグ酸(ポリフェノールの一種)が、赤ワイン以上にシングルモルトに含まれているのだという。もちろん、抗ガン作用を期待して、シングルモルトをガブ飲みという訳にもいかないが、ウィスキーファンにとっては朗報といえなくもない。もっとも赤ワインのように“健康ブーム”になってほしくないというのも本音だが。

馬券の分け前にあずかるのは、いったい誰!?

 ウィスキーと競馬というと、ケンタッキー・ダービーがすぐに思い浮かぶが、バーボン・メーカーが“馬主”になってしまうというのは、あまり聞いたことがない。スコッチではかつてあったが、それは遠い昔の話。現在の会社システムでは、オーナーが馬主になるというのも、そう簡単な話ではないだろう。
 ところがブランド・イメージ構築のために、マーケティングの一環としてそれを行うと発表したのが、ウッドフォード・リザーブ(ラブロー&グラハムの蒸留所)。同社はケンタッキーのウッドフォード郡にある会社で、ブラウン・フォーマンの子会社。ウッドフォード郡といえば、サラブレッドの育成で大変有名な土地である。もちろん出走させるのは、ルイヴィルにある、かの有名なチャーチルダウン。毎年5月の第一週に、「ケンタッキー・ダービー」が開かれる、全米屈指の競技場である。
 同社では“ウッドフォード・リザーブ・サラブレット・ソサエティ”を組織し、インターネットを通じて、ウッドフォード・ファンを募る計画。そのため3歳の牝馬をすでに購入済みで、この馬の名前やジョッキーが着る騎乗服のデザインなどを募集するという。
 「エンジェルズ・シェア」や「ディスティラーズ・ガール」、「ディスティル・マイ・ハート」、「ウッドフォード・ミス」などの名前がすでに候補として挙がっているというが、実際にレースに出るのは、今年の夏くらいの予定という。4つの中では「エンジェルズ・シェア」、天使の分け前がいいと思うのだが、ウッドフォード・リザーブ・ファンは、インターネットを通じて、この馬の勝敗に一喜一憂することになるのだろうか。もちろん賭けるのは自由である。

ついにオープン!
アイラの温故知新

 創刊号のコラムで“ソバ屋の出前”と書いたアイラ島のキルホーマン蒸留所の最新情報――。ついに操業の準備が整い、正式オープンはアイラ・フェスティバル中の6月3日、実際の蒸留開始は6月末になるという。原料となる大麦も水もピートもすべてアイラ産で、ボトリングもアイラ島のブルイックラディで行う。初年度(2005年)の生産量は約3万5000リットルで、これはボトルに換算して約8万本。そのうちの25%、60樽分は樽で直接販売するという。順調にいけば、8年で生産量は3倍に増産予定。
 蒸留所オープンと同時にカフェとショップ、ビジターセンターもオープンした。出資者のひとりで、大麦を供給するフレンチ氏は、肉牛生産、食肉加工では定評があり、将来はキルホーマンのウィスキーを使った各種の食材を売店で販売するという。
 もともとキルホーマンの地は島々の君主、“ロード・オブ・ジ・アイルズ”のアンガス・オグが夏の離宮を置いた場所。オグの后はアイルランドのアルスターの貴族の娘で、アイラ島に嫁ぐ際に、侍医であるマクベスを供って来島した。このマクベスがオグの宮廷に伝えたのがウィスキー造りで、それは13世紀後半のことだという。つまり、アイラ島にウィスキー造りが伝わったのは、公式記録があらわれる(1494年)、150年以上も前のことになるというのだ。
 ビジターセンターでは、そうしたアイラ島のウィスキー造りの歴史や、アンガス・オグ、アンガス・モー親子の事跡も紹介されるというから、ウィスキーファンならずとも興味深い話である。これでまた、アイラ島を訪れる楽しみが増えた……。

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News!News!News! 2005.Spring

観光客さんいらっしゃい!進化するボウモア

 昨年12月にオーヘントッシャンのレセプションセンターをオープンさせたモリソン・ボウモア社(本社グラスゴー、サントリーの子会社)から、新しいニュースが飛びこんできた。ハイランドのグレンギリー蒸留所にもレセプションセンターをオープンさせ、一般観光客を受け入れるというのと、アイラ島のボウモア蒸留所の売店とレセプションセンターを拡張するというもの。同社はオーヘントッシャン、グレンギリー、ボウモアの3つの蒸留所を所有しているが、昨年のシングルモルトの売上げは、前年比30%強の伸びを示すと見られていて、高まる一般消費者の要望に応えるのがその目的という。さらにボウモア蒸留所に併設されているコテージも一般観光客向けに今年から開放するという。今までは蒸留所の特別ゲストのみに限られていたが、アイラ島を訪れる旅行客の数がここ数年倍増していることから、宿泊設備の確保もその理由のひとつだという。これでアイラの蒸留所ではブナハーブンについで、宿泊コテージも完備した2番目の蒸留所ということになる。ロケーションはブナハーブンの比ではないので、人気がでるのは必至だろう。

お気に入りは何番目?
ブランドランキング

 醸造産業新聞社発刊の『酒販ニュース』で、2004年の輸出主要ブランドの販売実績ランキングを掲載していた(2月11日号)。それによるとスコッチのブレンデッドのランキングは@シーバスリーガル、Aバランタイン、Bホワイトホース、Cジョニーウォーカー黒、Dジョニーウォーカー赤。シングルモルトは、@マッカラン、Aグレンモーレンジ、Bグレンフィディック、Cザ・グレンリベット、Dボウモアとなっている。バーボン等では@ジャックダニエル、Aワイルドターキー、Bアーリータイムズ、Cフォアローゼズ、DI・W・ハーパーの順。シングルモルト5銘柄はどれも前年比2ケタ台の増だとか。

ラグビーファンでなくとも
気になる記念ボトル

 スコットランドのラグビーの聖地であるマリーフィールド競技場の80周年を記念して、このほど「フェイマス・グラウス」から500mlの記念ボトルが発売された。「フェイマス・グラウス」はスコットランド・ナショナルチームのオフィシャルスポンサーで、同スタジアムの観客収容数と同じ、6万7800本(!)の限定発売。スーパーの最大手であるセインズベリー店と、クリーフのグレンタレット蒸留所にある“フェイマス・グラウス・エクスペリエンス”の2ヵ所のみでしか手に入らない。1本9・99ポンド(約2000円)。ラグビーファンならずとも、気になる一本である。

世界初の試み
ウイスキーエール誕生

 スコットランドのブラックフォードにあるタリバーディン蒸留所では「1488ウイスキーエール」と名付けたユニークなビールを限定発売。これはウイスキー製造工程で生まれるウォッシュ(モロミ)を、ビール醸造会社に委託してビールに加工してもらったもので、まったく初めての試みだ。もともとブラックフォードはビール醸造で有名な土地で、1488年にジェームズ4世が戴冠した際、スクーン城でふるまわれたのがこのビールという。現在は蒸留所の売店と、近くにある有名なグレンイーグルス・ホテルのみで手に入る。スコッチの“マザーウォーター”として有名な「ハイランドスプリング」もブラックフォード産。もともと水の良さでは定評があったのだ。今年の先進国サミットはグレンイーグルス・ホテルで開かれることが決まっているので、小泉首相も飲むかもしれない……。

樽詰め1000万!!
脅威のジム・ビーム

 2月8日、ケンタッキーのジム・ビーム社が記念すべき1000万番目となる樽を詰めたと発表した。これはボトルに換算すると32億5000万本に相当する。ジム・ビームはケンタッキー・バーボンのトップブランドのひとつで、この記念すべき樽は4年後のバレンタインデーにボトリング予定という。高値がつくことは必至!?

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