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再び上昇気運に転じる |
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毎年恒例となったこのレポートも、今回で4回目を迎えた。このところ毎年のようにマイクロ・ディスティラリー(大手資本に属さない独立系の小規模蒸留所)の話題をお伝えしてきたが、2007年は久しぶりに大手企業の投資が相次ぎ、スコッチ業界の景気の良さを内外にアピールした一年となった。 |
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アイラ島のニューフェイス |
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ここ数年スコッチ業界を吹き荒れていた企業買収・再編劇は、さすがに2006年に限っていえば、一段落した観がある。昨年暮れのレポートでお伝えしたペルノ・リカール社によるアライド・グループ買収以降、目立った動きは出ていない。ペルノのアライド買収によって、行き先が決まっていなかったスペイサイドのグレングラント蒸留所は、最終的にイタリアのカンパリ社が1億1,500万ユーロ(約160億円)で、買収に成功した。カンパリ社は併せてブレンデッドの「オールド・スマグラー」「ブレイマー」も、約20億円でペルノから買収している。 アイラ島のニューフェイス アイラ島で8番目となるキルホーマン蒸留所が、正式にオープンしたのは2005年6月3日のこと。しかし、実際の蒸留開始はその年の12月で、2005年に生産できたのはわずか6樽だけだった。キルホーマンはアイラ島北西部、リン半島の大西洋に面したロックサイド・ファームにあり、農場の古い建物を改装して建てられている。現存するアイラの蒸留所で、操業が一番新しいのがブルイックラディの1881年だから、実に124年ぶりにアイラにニューフェイスが誕生したことになる。 個人経営の蒸留所 ファイフ地方のクーパー近郊に操業したダフトミルも、2005年暮れに初めての蒸留を行った。ファイフはエジンバラの北に位置する地域で、分類上はローランド・モルトになる。エジンバラにも近く、北海に向かって突き出た半島部分の先端には、「ゴルフの聖地」といわれるセント・アンドリュースがある。エジンバラ南方のロージアン地方と並ぶ大麦の主産地で、ヘイグ家やスタイン家の蒸留所がかつて存在した由緒ある土地でもある。今でこそモルトウイスキーを造る蒸留所はなくなってしまったが、ディアジオ社が誇るグレーンウイスキー蒸留所、キャメロンブリッジは、ここファイフに拠点を置いている。そればかりかディアジオ社の巨大な集中熟成庫も、ヘッドクォーターもファイフにある。 会員制のディスティラリー 稀有な存在といえば、同じファイフに現在建設が進められているレディバンクも、非常に珍しいマイクロ・ディスティラリーである。正式な名称は「Ladybank
Company of Distillers Club」。つまりゴルフの会員権と同じように、まずメンバーを募り、その会員権を売って得た資金で蒸留所の建設、運営を賄おうというもの。計画は数年前にスタートしていて、創業者のジェームズ・トムソン氏によれば、「現在会員数は400名弱、最終的には1,250
名の会員を募集」するという。すでに2006年9月から建設がスタートしていて、実際の蒸留開始は2007年秋になる見通しである。 日本、さらに台湾にも さて、マイクロ・ディスティラリーの締めくくりとして、以下ブラックウッド、プラバン・ナ・リンネについても、ごく簡単に触れておくことにする。 さらなるユニークな試み さて、ここまではマイクロ・ディスティラリーを中心に述べてきたが、最後に新しい製品の傾向などについても述べておこう。アイラモルト・ブームが起きていると以前にも紹介したが(ピーティ、スモーキーフレーバー好きの“ピートフリーク”なる言葉も誕生しているほど)、こんどはそのアイラで、対極ともいえる2種類のボトルが販売されて話題になっている。 |
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業界を揺るがす大ニュース |
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昨年のレポート(『2004年 スコッチ業界に起きた新しい動き』)で、モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン・グループ(LVMH)によるグレンモーレンジ社買収の衝撃についてご報告した。その時に、このような業界を揺るがす大買収劇は当分の間起らないのでは、という観測コメントを載せたが、それはあまりにも楽観的(?)すぎるコメントだったかもしれない。というのは、グレンモーレンジ社買収の興奮さめやらぬ2005年春に、スコッチ業界第2位のアライド・ドメック社売却のニュースが飛び込んできたからである。 万年2位という地位に飽きた!? 業界第3位の企業による、業界第2位企業の買収……。かつてペルノがシーバス・ブラザーズを買収した例はあったが、下の者が上の者を喰うというのは、そうそう多くあることではない。今回の買収も当初、難航するかに見えていたが(誰もがそんなことが可能とは思っていなかった)、アライド・ドメック社の売却の意思は思っていたよりも固く、またペルノ・リカール社の粘りづよい説得交渉により、夏ごろには最終合意に達する見通しができてきた。ペルノと提携をして資金協力をしたのは、アメリカのフォーチュン・ブランズ社(ジム・ビーム・グループ)で、このことも買収成功に大きく影響していた。ペルノ単独では、資金的にも無理があったからである。 JBBの再進出 アライドのポートフォリオの中で、もっともポテンシャルが高いと思われていたのがラフロイグで、これはフォーチュン・ブランズ社に早々に移行が決定した。というより、ラフロイグを所有することが、同社がペルノと提携することの条件だったようで、役員会のテーブルについたのも、ラフロイグあったればこそである。と同時に、東ハイランドのケネスモントに所在するアードモア蒸留所も、フォーチュン社に移行することがすでに決定している。アードモアは「ティーチャーズ」の重要な原酒工場なので、同時に「ティーチャーズ」もフォーチュンに移行するのかもしれない。 マイクロ・ディスティラリーの現状 ここまでペルノ・リカール社のアライド・ドメック買収の話を中心に述べてきたが、スコッチ業界の話題は必ずしもそれだけではない。ただ、あまりにこの買収劇の衝撃が大きすぎて、他のニュースはあまり印象に残らなかったというのも事実である。さすがに、ボトラーズや中小ブレンダーによる蒸留所買収劇はひとつもなく、なんとなく、ここへきて動きが一段落しているという観は否めない。 |
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グレンモーレンジ社売却の衝撃 |
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昨年秋スペイサイドのザ・グレンリベット蒸留所を訪れた際に、統括責任者であるジム・クライル氏と話していて、最近のスコッチの傾向として「二極化」ということが話題になった。国際的な大手酒類メーカーによる蒸留所とブランドの統廃合が進む一方で、独立系企業による蒸留所買収、古い蒸留所の復活、そして差別化を図ったユニークな製品が次々と市場に投入されているというのである。ここではそうした「二極化」という流れを踏まえつつ、2004年に起こったスコッチ業界の新しい動きを概観しておきたいと思う。 グレンモーレンジ社売却の衝撃 2004年の業界のビッグニュースといえば、なんといってもモエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン・グループ(LVMH)によるグレンモーレンジ社の買収をあげなければならない。それ以前の2000年のミレニアムから2003年にかけて起こった蒸留所の統廃合、買収劇には目を瞠るものがあった。ペルノ・リカール社によるシーバス・ブラザーズ社の買収、独立瓶詰業者のシグナトリー社によるエドラダワーの買収、マーレイ・マクダビッド社のブルイックラディ、イアン・マクロード社のグレンゴイン、バーン・スチュワート社のブナハーブン、アンガス・ダンディ社のグレンカダムなど、その都度業界を揺るがす大ニュースとなった。さすがに2003年秋以降は目立った動きはなく、2004年春にスペイサイドのベンリアック蒸留所が、南アフリカの会社によって買収されたというニュースくらいであった(後述)。ベンリアックはロングモーンの姉妹蒸留所で、エドラダワーや、ブルイックラディ、ブナハーブンに比べればマイナーな存在である。蒸留所買収劇も一段落したのかと思っていた矢先の2004年8月下旬、グレンモーレンジ社の株式が売りに出されるという衝撃的なニュースが飛び込んできた。 グレンガイル蒸留所の復活 グレンモーレンジ社の買収劇ほど大きくはないが、2004年に起こった出来ごととして、先にちょっと触れたベンリアックと、グレンガイル蒸留所の復活についても述べておく。 蒸留所の多ブランド化 さてここまでは蒸留所の統廃合とそれに伴う買収劇、蒸留所の復活について述べてきたが、2004年は製品の上でも、いくつかの顕著な動きが見られた。ここ数年はボトラーズの台頭により、多くの“ボトラーズ物”が市場に出回ったが、2004年はそうしたボトラーズの動きが一段落し、“オフィシャル物”のユニークな製品が次々と市場に投入された年といえるかもしれない。ボトラーズ物の台頭に対する、いわば「オフィシャル物の逆襲」である。それも、いくつかの際立った特徴が見られた年でもあった。ひとことで言えば蒸留所の「多ブランド化」であり、それもいままでその蒸留所のハウス・スタイルと思われていたものとは明らかに異なる、異色な製品のリリースであった。 マイクロ・ディスティラリーの躍進 これまで業界の二極化、ひとつの蒸留所の多ブランド化、アイラ・モルト・ブームについて述べてきたが、最後にもうひとつ、新しい蒸留所の動向についても触れておきたい。ここ2〜3年、新しい蒸留所の建設が相ついで発表されている。 |
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